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成良仁さんのほあほあ

2008.07.06

 昨年の『fooga』3月号で紹介した陶芸家の成良仁さん。またの名を南田是也(なんだこれや)。

 アカデミックな陶芸作品を創作する時は前者(本名)であり、太った裸のオバサンのオブジェを創作する時は後者の名前を使う。

 その成良さんから、小社刊『美しい生き方が、ここにあります』の自分のページだけを抜き刷りしたいと依頼され、揚々と納品したのはいいが、表紙に誤字があることが判明。実際はNARIYOSHIなのに、NARUYOSHIとしてしまったのだ。ずっと「なるよし」さんだとばかり思っていた私のミスである。

 刷り直した小冊子を届けた際、私を哀れと思ったのか、慈悲深い成良さんは、「ここにある物で好きな物があれば、ひとつ選んで持ち帰ってください」とおっしゃった。成良さんのアトリエには、よりどりみどり、作品が所狭しと置かれているのである。

「えー? ほんとですかぁ」と少々声を裏返らせ、成良さんの気が変わらない内、とっさに作品を選んだ。

 それが右の写真・青瓷釉偏壺『ほあほあ』である。

 さっそく持ち帰り、アジサイを生けたのである。

 このアジサイ、よく見ると葉っぱが虫に食われているが、これはこれで自然の営みであるからにして、いとおかし。

 さて、この写真、斜め上から写しているので、その形状がはっきり伝わりにくいが、丸みが実にユニークで、太ったオバサンのオブジェにも通ずるものがある。上半身の方が微妙に太っているところもおもしろい。ろくろで成形した後、穴を塞いで形を整え、最後に口を開けるという。

 一見すると、安定感がなく、転んでしまいそうな印象だが、水を入れればきちんと安定感が備わる。なにより青磁釉の光沢とマットの部分のテクスチャーがいい。そして、『ほあほあ』というネーミングもセンスを感じさせる。

 その成良さん、『『fooga』で特集されたことがきっかけとなり、今日から赤坂のニューオータニ内にある「ギャラリー寛土里」で太ったオバサンのテラコッタオブジェの個展を開いているが、直前になって先方より「裸はまかりならん」と通達があり、一気にモチベーションが下がってしまったとのこと。

「ミロのヴィーナスみたいな裸体像は芸術で、俺の作品の裸は卑猥だっていうのか……」とお嘆きの成良さん。その気持ち、よーくわかります。たしかに、あの大らかな裸を見て欲情する人はいないだろう。

「じゃあレースの下着でも着けてあげたら? そっちの方が卑猥よね」と奥さん。

 それも真なり。

 そんなわけで、着衣の南田是也展は7月13日まで開催。

(080706 第57回)

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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