どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久 多樂がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。【テキスト/髙久 多樂】
Topics
file.188『天海』三田誠広 作品社
日本の歴史には名僧・怪僧が百出する。そのなかでもひときわ特異な存在感を示すのが天海だ。徳川家康から家光まで、徳川幕府の黎明期を支えた大人物として天海の名は永遠に刻まれるだろう。しか…
file.187『仮名論語』論語普及会
こういう時勢だから、あらためて『論語』を読んでみたいと思う人も少なくないだろう。問題はなにを読むか。なにしろ『論語』に関する本は数え切れないほどある。私のイチオシは上掲の『仮名論語…
file.186『大聖堂』レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳 中央公論社
レイモンド・カーヴァーと言えば、ミニマリズムの代表的な作家である。ミニマリズムを的確に訳す言葉を知らないが、あえて表現すれば「半径五十メートルの作家」とでも言えばいいだろうか。つま…
file.185『趣味と芸術 ―謎の割烹 味占郷』杉本博司 講談社
前回はユニークな数奇者が主人公の小説だったが、今回は現代の数奇者が夢想する割烹を舞台にした会食の数々を覗いてみたい。タイトルはNHKのテキストのようだが、これは作者特有の煙幕であろ…
file.184『清談 佛々堂先生』服部真澄 講談社
タイトルにもある佛々堂先生とはいかなる人物か?本書には4つの短編が収められているが、そのいずれにも佛々堂先生の描写がある。それらを総合すれば、以下のようになるだろう。・古美術、骨董…
file.183『納棺夫日記』青木新門 文春文庫
人は自分の死について、四六時中深く考えることはしない。日常に忙殺されてそれどころではないという事情もあるだろうし、考えてもわからないことをあえて考えないということもあるだろう。しか…
file.182『酔いどれ草の仲買人』ジョン・バース 野崎孝訳 集英社
今年(2024年)4月、ジョン・バースの訃報に接した。巨星墜つとはこのことだと思った。彼の代表作『酔いどれ草の仲買人』(1960年発表)はいつかは読んでみたいと思っていた大作だった…
file.181『食べない健康法』石原結實 PHP文庫
近年、食事の回数を減らす健康法が定着した感があるが、それを最初に提唱した〝元祖〟が石原結實氏であり、その代表作が本書である。石原氏はもともと西洋医学を学び、医師になったが、独自の療…
file.179『「日本よい国」構想』山田宏 神楽サロン出版
当時、杉並区長だった山田宏氏(現参議院議員)の国家構想を著した本書は、埋もれた名著といえる。2009年の発行から15年以上過ぎているが、社会を見通す著者の眼力に感服するとともに、こ…