どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久 多樂がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。【テキスト/髙久 多樂】
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file.202『火の鳥』手塚治虫 角川書店
角川書店版では黎明編、未来編、ヤマト編、鳳凰編、復活編、望郷編、乱世編(上)、乱世編(下)、宇宙生命編、太陽編(上)、太陽編(下)の11巻構成だが、共通するのはタイトルにもある火の…
file.201『生命誌とは何か』中村桂子 講談社学術文庫
本サイトのコラム「ちからのある言葉」で生命誌研究者・中村桂子さんの下記の言葉を紹介している。――研究館を始めてから、考える物差しは「美しき生きる」と決めています。美しくないことはし…
file.200『陰翳礼讃』谷崎潤一郎 角川ソフィア文庫
谷崎潤一郎という人は稀有な感性をもつ作家だ。愛する女性を神のごとく崇め、かしずき、下僕のように仕えるなど、明らかにМの嗜好がある。そんな小説家が著した文化論的随筆集である。本書には…
file.199『昭和天皇』保阪正康 中公文庫
昭和天皇について書かれた書物はたくさんある。本コラムでも福田和也氏の『昭和天皇』を紹介しているが、保阪正康による本書は数ある昭和天皇関連書籍のなかでも群を抜いて完成度が高い。正直に…
file.198『侍たちの沃野 大久保利通最後の夢』植松三十里 集英社文庫
水田という言葉が示すように、水と田は切っても切り離せない関係にある。水田地帯には元から水の恵みがあったと思いがちだが、そうではない。本書は、明治10年代、水利の乏しかった福島県安積…
file.197『祈りの御歌』竹本忠雄 扶桑社
皇后美智子様(現上皇皇后)の御歌集『セオト――せせらぎの歌』のフランス語訳者による著作。巻末に『セオト――せせらぎの歌』に収められている53首の原詩と仏訳、注釈が掲載されているが、…
file.196『美しい星』三島由紀夫 新潮文庫
20代のある時期、三島の純文学にシビレた。しかし、非の打ち所のない(ほぼ)完璧な文章がだんだん鼻につくようになった。とはいえ『美しい星』は、三島らしい美意識が昇華した作品でありなが…
file.195『反解釈』スーザン・ソンタグ 高橋康也・出淵博・由良君美・海老根宏・河村錠一郎・喜志哲雄訳 竹内書店新社
20代のころ、スーザン・ソンタグに憧れ、スルメをしゃぶるようにして難解な著書を読んだ。とびきり美人のうえ頭脳明晰(シカゴ大学→ハーバード大学院→パリ大学。専門は哲学)、小説家・戯曲…
file.194『こころ』夏目漱石 新潮文庫
読書に関しても音楽や美術同様、雑食を旨としているが、客観的に自分の読書傾向を眺めると、日本の近代文学が異常に少ないことがわかる。おのずとこのコラムで取り上げた作品も少ない。泉鏡花の…
file.193『原寸美術館 日本編』千住博 小学館
展覧会の図録は結構売れる。本物の絵を見た興奮が、そうさせる。しかし、家に持ち帰って図録を開いても、本物を見た感興は甦らない。かくしてすぐさま書棚にしまわれ、〝展覧会に行った証拠品〟…