死ぬまでに読むべき300冊の本
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Introduction

どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久多美男がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。(テキスト/高久 多美男)

300 Books Topics

簡潔にして鋼のようなしなやかさ
file.010『ヘミングウェイ全短編』アーネスト・ヘミングウェイ・新潮社
「世界初の完璧な短編全集。待望の日本語永久保存版」と帯に銘打っているように、未発表を含めたすべての短編が収められたもので、豪華な化粧ケースに入っている。デザインも秀逸。持っているだけで特別な気持ちになる。 ヘミングウェイの初期短編集『われらの時代』『男だけの世界』『勝者に報酬はない』の3冊に、『キリ
 
本質がぎょうさん詰まった、木の話
file.009『『木のいのち木のこころ』(天・地・人)』西岡常一・小川三夫・塩野米松 新潮OH!文庫
 すべてに通じる普遍性が、語り言葉で凝縮されている珠玉の(あ、陳腐な言葉を使ってしまった!)3冊組は、高邁な哲学書に匹敵する世紀の名著(また!)である。 最後の法隆寺・宮大工棟梁である西岡常一と彼の唯一の弟子である小川三夫、そして小川の弟子たちの話をまとめた3冊は、宮大工に限っての話ではない。教育論
 
揺れ動く純な若者の心と厄介な社会
file.008『竹林精舎』玄侑宗久 朝日新聞出版
 禅宗の僧侶であり、芥川賞作家でもある玄侑宗久の最新長編作。 玄侑の作品はかなり読んでいる。東日本大震災をテーマにした短編集『光の山』(芸術選奨文部科学省受賞)はなかでも秀でていると思っていたが、本作はそれをも凌ぐ。 なんといっても著者の眼力の射程距離が伸縮自在だ。原発事故後の福島の現状と放射性物質
 
現実の世界と深層心理の世界をつなぐなにか
file.007『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹 新潮社
 村上春樹はデビュー作『風の歌を聴け』からすべてリアルタイムで読んでいる。次作の『1973 年のピンボール』までは、時代を表した軽い小説としてしかとらえていなかったが(それでいて買って読んでいるのだから、なにか引っかかるところはあったのだろうが)、その次の『羊をめぐる冒険』で、この作家に対する関心が
 
読者の想像力を喚起する未完の大作
file.006『死せる魂』ニコライ・ゴーゴリ 岩波文庫
 未完成の作品である。シューベルトの「未完成」のように体裁が整っているのならまだしも、この作品は大事なものが決定的に欠けている。ゴーゴリはダンテの『神曲』をも意識して3部構成で書き始めたと言われるが、残っているのは第1部のみ。第2部は最晩年の狂乱状態の時、暖炉に投げ込んでしまったという。残された第1
 
凄みのある知性と、それに食らいつく学生たち
file.005『学生との対話 小林秀雄』国民文化研究会/新潮社編 新潮文庫
 夜盗に入った下手人に組み敷かれ、ナイフを喉元に突きつけられても冷静さを失わずに説教し、改心した男が後日、菓子折りを持って小林秀雄のもとを再び訪ねたというエピソードがあるが、この本を読むと、「なるほど」と納得できる。胆力の人である。 小林は昭和36年から53年の間に5回、九州を訪れ、学生たちに講義を
 
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