第10回タカタラ賞、発表!
前回に続いて、昨年の日展での入選作を発表したい。
いったい、このヘンテコリンな賞の発表はいつまで続くのかと思う人もいるだろうが、それは当人にもわからない。わからないことはたくさんあった方がいいのだ。
永谷光隆「命脈」。昨今、アンチエイジングという言葉が跋扈しているが、時間の堆積=エイジングはこうも魅力的だと突きつけられているよう。鉄の錆や籐の綻び、板の劣化も美になりえる。一方で、ジャガイモは新たな芽を出している。自然界の循環を表しているようでもあり、命脈というタイトルがしっくりくる

橋本一貫「時」。この作品も時間の流れをテーマにした静物画だが、上の作品より清潔で小ぎれい、無機的でさえある。語らずとも語っている感じ。静謐な空気感が伝わってくる

木原和敏「Black coffee」。かなり写実的に描かれた人物画。髪の毛やコーヒーカップ、古い書物など、異なる質感の物質を丁寧に描いている。倒れたハイヒールが艶っぽい

山本大貫「門出」。これもリアルな人物画。一見、写実的に見えるが、細部を見ると恣意的に描かれているのがわかる。一期一会、門出の瞬間を半永久的にカンヴァスに閉じ込めている

渡辺せつ子「日々是好日」。一転して、たくましい生命力を感じさせる女性とネコ。似た者同士である。大地をしっかり踏みしめた足元がいい

青柳敏夫「移りゆく」。秋の景色なのだろう。木の枝も葉っぱも畑も、カラスさえも黄金色に輝いている。こういう子供のような色彩を見ると、ワクワクする

桐生義也「愛馬の日」。伝統的な龍の絵を思わせる、流れるような馬。大胆で堂々としている。色がついていたらどんな絵になるんだろうと想像するのも一興

水野宏「リバーサイド」。海沿いの、どこにでもある風景。白線の掠れといい、芸が細かい。時間が止まったような印象がある

井上陽照「夏の花」。ゴッホの描き方を取り入れました、と公言しているような気っ風のよさがある
(260522 第1321回)
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