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紺碧の将

夢中になってやり遂げる人生

2023.07.21

 今年の朝ドラの主人公は牧野富太郎である。私は朝ドラは見ないが、家人が見ており、ときどき富太郎のエピソードを聞かされる。

 そのつど、なるほどと思う。

 

 2013年、取材で高知を訪ねたおり、牧野富太郎記念館を訪れたことがある。とくだん牧野富太郎が好きだったわけではないが、妙に惹きつけられるものを感じた。予感の通り、深い感銘を受けた。

 会場入り口付近で、ビデオ映像を見た。

「私は植物の愛人としてこの世に生まれて来た様に感じます。或いは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います」

「人間は植物を神様だと尊崇し礼拝しそれに感謝の真心を捧ぐべきである」

 彼の言葉が胸に突き刺さってきた。

 草の上に腰をおろし、両手を合わせてじっと祈る牧野富太郎の表情が強く脳裏に刻まれた。

 

 牧野富太郎は小学校中退ながら理学博士の学位を得、50万点もの標本や観察記録、多数の新種を発見・命名し、「日本植物学の父」とも称されている。偉大な功績を称え、彼が生まれた5月22日は「植物学の日」に制定されている。

 アカデミックな教育を受けなかった牧野博士が、なぜ、エリートたちがなしえなかったことをやってのけたのか。それは上の言葉のように、自分が植物になりきっていたからだろう。生活のすべてを植物観察に費やしたため、赤貧洗うが如しだった。たくさんの子供をかかえ、妻もそれに耐えた。

 展示コーナーのなかに、実物大のジオラマがあった。牧野博士が研究に打ち込んでいる姿である。部屋のなかにうずたかく積まれた文献や新聞に囲まれ、目の前の植物をじっと観察している。ジオラマなのに、気魄や歓喜が伝わってくる。

 心をわしづかみにされ、揺り動かされた瞬間だった。

 

記念館の周囲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は植物の愛人としてこの世に生まれて来た様に感じます。或いは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間は植物を神様だと尊崇し礼拝しそれに感謝の真心を捧ぐべきである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオラマ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広大な記念館から見た遠景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(220721 第1186回)

 

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