生命誌を体感する
以前から行きたいと思っていた「JT生命誌研究館」(大阪府高槻市)を訪れた。この研究館の名誉館長は中村桂子氏、現館長は細胞生物学者で歌人の永田和宏氏。お二人とも尊敬する人である。中村さんの『生命誌とは何か』という著書は、本サイト「死ぬまでに読むべき300冊の本」で紹介している。永田さんの著書もいずれ取り上げねばと思っている。
生物史ではなく生命誌。そのとらえ方に共感できる。地球に生命が誕生してから約38億年の歴史があるというが、生命を全体でとらえる視座が生命誌である。
建物のデザインに工夫が凝らされている。正面入口を入ってすぐ、DNAの螺旋階段を模した階段が目に入る。展示フロアは3階まであり、4階(屋上)は植物と昆虫の関わりを見ることができる食草園。
おもしろいのは、階段の1ステップが1億年に相当すること。一歩一歩昇りながら、1億年2億年と数えていくと、その時間の長さに気が遠くなりそうだ。
一説に、人類の起源は約600万〜700万年前、チンパンジーの祖先から分かれたことに始まるとされている。その後、進化をとげ、約30万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスが世界中へ広がったというが、この研究館の階段に当てはめれば、人類の誕生は4階に上がる最後の1段の上の方、ほんの1ミリにも満たないということになる。それなのに、この新参者は我が物顔でさまざまな生き物に迷惑をかけている。ほんと、生まれてきてスミマセンという感じだ。
それはさておいて、関西へ行ったおりは、ぜひとも立ち寄ってほしい。スケールが大きくて、われわれが抱える問題や悩みなんぞ、塵芥にもならないと感じられるはずだ。
(260802 第1330回)
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