STAND ALONE
新しい拙著のタイトル『STAND ALONE』は文字通り「一人で立つ」という意味だが、文法的にはSTANDING ALONEとすべきだろう。しかし、本書の主役である故・近藤隆雄(本文ではTAKA)はもっと別の意味を込めてこの言葉として用いていた。つまり、多くの人の前で「自分は何者なのか」を語り、明らかにするというもの。その際、学歴や肩書などはあまり意味をなさない。それらはその人の本質ではなく、属性でしかないからだ。
TAKAがその意味を自らに問うたのは、おそらく40代の頃、当時勤めていたアメリカの会社の経営陣から理不尽な仕打ちを受けたときではないか。「It is not fair」と友人に悔しさを吐露すると「Life is not fair」と返された。彼はその一言で目が覚め、会社を辞め、学び直しを始めた。その転機があったからこそ、人生の終盤を輝くものにすることができたのだろう。「お前は何者なんだ。何のために生まれ、これから何をするのか」と自問しながら全身全霊をかけて後進を育て、生き切った。
STAND ALONEという言葉を検索すると、10年以上前に放映されたNHKのドラマ『坂の上の雲』のメインテーマがヒットする。久石譲作曲、小山薫堂作詞。もしかするとTAKAも観ていたのかもしれない。彼に多大な影響を与えた明治生まれの祖母が、ひとり凛として立つ姿に重なったのではないか。
人生はフェアではない。しかし、フェアかどうかはあくまでも相対的なものだ。要は、絶対的に「It’s my life」と言えるかどうか。そのためにSTAND ALONEという思考法は有効だ。
(第149回 260614)
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