Born to be blue.
前回に続き、Bornで始まる歌から題材を引く。1947年にメル・トーメとロバート・ウェルズが作った曲である。邦題は「ブルーに生まれついて」。邦題はいいかげんなものが多いが、これは名訳といえる。チェット・ベイカーをテーマにした同名の映画もある。
最初の節だけ紹介しよう。
Some folks were meant to live clover,
But they are such a chosen few,
And clover, being green, is something I’ve never seen,
‘Cause I was born to blue.
大意は、クローバーに囲まれて暮らしているが、目に美しい緑は映らない。なぜならブルーに生まれついてしまったから、というもの。つまり作者の目にはブルーのフィルターがかかっていて、それを通してしか物事を見ることができない……。こういう表現に接すると、英語もいいなあと思える。
もちろんこのblueは比喩である。はて、blueとはなんだろうと思いながら聴くと、いっそう味わい深い。
ちなみにこの曲はチェット・ベイカーもいいが、なんといってもスグレモノはヘレン・メリルであろう。ヘレンがクリフォード・ブラウンを迎えて26歳(録音時は25歳)のときに発表した『ヘレン・メリル』に収録されているが、この歌詞はこうやって表現するのよ、とばかり自信に満ちた歌いっぷりだ。大御所クリフォード・ブラウンとがっぷり四つに組み、誰も真似のできない世界を示した。本サイトでもこのアルバムを紹介している。
(第148回 260610)
髙久多樂の新刊『STAND ALONE』発売中
https://www.compass-point.jp/book/standalone.html
本サイトの髙久の連載記事















