Born to run.
最近、『STAND ALONE』という本を上梓したが、その帯には「おまえは何者だ。何のために生まれ、これから何をするのか」というコピーがある。この本の主役・近藤隆雄氏が生前、若者に向かって真っ先にする問いかけだった。
ブルース・スプリングスティーンは誰に訊かれずとも、「Born to run」と答えている。否、答えたのではなく、自分を鼓舞していたのだろう。彼の魂の言葉は、労働者階級の代弁でもあった。人はあるときまでは走り続け、それができなくなれば歩き、いよいよ歩けなくなったらこの世とおさらばするのが必定なのだろう。これは比喩ではなく、実際にヨチヨチ歩きしかできなくなったら、死も間近だ。
この歌には以下のような詞がある。
I’ll love you with all the madness in my soul. Someday girl, I don’t know when, we’re gonna get to that place where we really to go. And we’ll walk in the sun. But till then tramps like us, baby we were born to run.(魂の狂気を込めておまえを愛そう。いつ着くかわからないが、あそこまでたどり行こう。おれたちの本当に行きたいところへ。そして太陽のなかを歩こう。それまで、おれたちのような放浪者は走るんだ。走るために生まれてきたのだから)
口に出すと気恥ずかしくなるようなで詞ではあるが、スプリングスティ―ンのパッションが伝わってくる。the madness in my soul、そういうものを持ち続けたいものだ。
それにしても、いったい誰が「Born to run」を「明日なき暴走」と訳したのか。これではヤケクソで走っているような意味になってしまう。ナンセンスもはなはだしい。この罪は重いぞ。
ところで、この曲が収められたレコードのジャケットは、こんなにカッコイイ!

ジャケットを開くと、Eストリート・バンドの一人に寄り掛かるスプリングスティーンがさらにカッコイイ!

(第147回 260427)
髙久多樂の新刊『STAND ALONE』発売中
https://www.compass-point.jp/book/standalone.html
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