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紺碧の将

浜松のみどころ

2023.02.13

 出張や旅行などであちこち回っていると、だんだん自分の好みの街がわかってくる。長い歴史や深い文化をもつ都市はもちろん好みではあるが、かといって閉鎖的なところはちょっと……。なぜか日本の伝統文化が息づく街は、閉鎖性が強い傾向がある。甲府・長野・松本などの甲信地方の街は借景が抜群、地元食材も豊富で魅力的だが、寒そうなのがちょっと……。同じことは仙台や札幌にも言える。また、関東の諸都市はどうしてあんなに個性に乏しいのか。雑然とした街並みの都市が多いのは、近くにある東京の真似をしようとして乱開発した結果なのかも。魅力度ランキングの通りだと思う。

 その点、浜松は魅力満載の街である。遠州灘に面しているから温暖で開放的。ヤマハや河合楽器があることで「音楽」が脈々と息づき、かなり文化的でもある。なにしろ「河合楽器通り」という名の通りもあるのだ。定期的に「浜松国際ピアノ・コンクール」が開催され、『蜜蜂と遠雷』の舞台にもなっている。家康が独立した後、本拠の岡崎から浜松に拠点を移したことから「出世の地」という位置づけでPRしているが、街のあちこちから見える浜松城は、じつに優美である。しばらく家康が拠点としていただけあって歴史的なスポットも多い。

 インデペンデントの飲食店も多く、しかもどこで食べてもはずれがない。一品一品、驚くほどボリュームがあって旨い。食べて飲む場所には困らなそうだ。

 

 今から13年前、ムック『Leaders of Japan』の取材で、鈴木康友・浜松市長を取材したことがある(現在の市長も同氏)。鈴木市長は、松下政経塾の1期生である。

 当時の浜松市は都市部と100以上の限界集落を有し、鈴木市長は「国土縮図型政令指定都市」と呼んでいた。「こども第一主義」を掲げ、地域主権のモデルになることを目指していた。その後、どういう成果を挙げたのかはわからない。ただ、市役所の壁に「政令指定都市中、幸福度ランキング1位」という懸垂幕が誇らしげに掛かっているところを見ると、住民の満足度は高そうだ。人口約80万人。ヤマハやスズキなど有力な地元企業もあり、財政的に恵まれているのだろう。

 

 浜松駅の近くに〈トゥルネラパージュ〉という素敵な店がある。1・2階を吹き抜けとし、ジャズのレコードを流すカフェである。巨大なオーディオ装置を置き、音楽を聴くだけの席は会話禁止としている一方、オーディオから離れた場所に会話オーケーの席もつくっている。何種類もあるストレート・コーヒーはハイレベル。

 資本力のあるオーナーなのだろうことは一見してわかる。オーナーの趣味性が高い店だが、地元の人たちから支持されなければ運営は継続できない。その点、多くの客が入っていて、さすがは「音楽の街」と感心した。

 近くにこんなところがあったら、入り浸りになるのは必至。またあの音楽のシャワーを浴びたい。

 

浜松城天守閣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三方ヶ原の戦いで敗れ、ほうほうの体で浜松城に逃げ戻った家康が鎧を脱いで掛けたとされる松

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くからも城が見える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜松駅の近くにあるアクトシティ浜松。コンサートホールやホテルオークラ、楽器博物館などが集積している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈トゥルネラパージュ〉のサイン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃ大迫力のサウンド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作り付けのレコードジャケット棚。他に雑誌『スイング・ジャーナル』を収納する作り付けの棚もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(220213 第1167回)

 

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