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紺碧の将

常識から離れろ

2021.01.12

 ひさしぶりに広告のコピーで電気が走った。

 1月11日に掲載されたRED BULLの見開き新聞広告。「くたばれ、正論。」というキャッチコピーがついている。以下は、その後に続くボディコピー。

 ――この世の行き過ぎた正しさが、君の美しいカドを丸く削ろうとする。正しすぎることからは、何も生まれない。常識を積み重ねても、所詮それは常識以外の何物でもないから。自分の感受性を守れ、自分の衝動を守れ。自分の中のバカを守れ。本能が面白いと感じる方へ動くんだ。まっすぐ、愚直に、大きくいこう。

 

 まったく同感である。私が日頃思っていることを、よくぞ書いてくれたと感謝したいくらいだ。

 いま、世の中で「正しい」とされる「常識」はほんとうに正しいことなのか? はなはだ疑わしい。社会のなかで増え続ける決まりごとや暗黙の了解事項は増えるばかり。国会が開催されれば、法律が増える。なにもかもが「決まりだから」「そうなっているから」で済まされる。それからはずれれば、攻撃される。コロナ禍でその傾向に拍車がかかっている。

 先日、友人が嘆いていた。いまは会社の新しい銀行口座もなかなか作れないし、海外への送金もできない、と。「じゃあ、仕事をするな」という意味ですかと担当者に言ったら、その人は頭を下げて「申し訳ありません」と言うだけ。大きな組織の一員でロボットのように働かされているため、自分の裁量でできることなど無きに等しいのだ。

 いったい、いつからこんなプラスチックで成形されたような、つるつるの社会になってしまったのか。

 あるとき、流行しているJポップの歌詞を読んだことがあった。あまりのきれいごとな内容に唖然とした。「偽善だ」さもなくば「不感症だ」と思ったが、ふと、世の中から弾かれないよう、若者なりの防衛手段として大人に媚びているのかなとも思った。

 いつの時代も大人たちがつくる社会のルールは胡散臭い。これは批判ではない。多くの人間が集まれば、調整弁として多くの規則が生まれるし、利権が既得権益化するのは当たり前だ。そして、それを守るための決まりをどんどんつくる。人間とはそういう生き物だ。

 だから、若者は大人がつくった社会に対して反発を覚えるのは当然だ。しかし、いまはヘンにものわかりのいい若者ばかりで気持ち悪い。「自分の中のバカを守っている」人や「本能が面白いと感じる方へ動く」人はますます少数派になっている。

 近い将来、うつ病が病気のなかで最も多くなるだろうという予測さえある。たぶん、そうなるのだろう。

 なにも常識を壊せとは言わない。無法国家になるのがいいとは全然思わない。せめて常識から離れ、自分の頭で考えることは必要だ。なんとなれば、なにごとも行き過ぎれば難となるのだから。

(210112 第1052回)

 

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