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仕事のスタイルも軽妙化へ

2020.11.13

 9月下旬、市ヶ谷の「Chinoma」を閉めたことは書いた。その後、都内での拠点探しに動いた。あらかじめ決めていたことは、〝生活の軽妙化〟とともに、仕事のスタイルも軽妙化を図るということだった。とにかく身軽になろう、と。

 Chinomaを退出するにあたり、頭を悩ませたことは、そこに置いてあるモノをどうするかだった。大量の本、机やテーブルや書棚ほかオフィス用品、オーディオ、美術品……。

 とりわけ困ったのが本の行方だった。選りすぐった300冊ていどを千駄ヶ谷の自宅へ、ほかは本好きの友人にあげるもの、売却するもの、棄てるものに分け、どれにも当てはまらないものをまとめて宇都宮の事務所へ。それでも段ボール箱20箱以上もあった。オーディオとレコードの半分は千駄ヶ谷へ、テーブルなど家具類はそこに置き土産としたもの、友人にあげたもののほかを宇都宮へ、美術品は宇都宮へとふりわけた。

 私はまだ移動する場所があるからいいものの、そうでなければ大半は処分するしかない。自宅はかなり収納スペースがある設計だが、その大半は1500冊ほどの蔵書で埋まってしまった。ふつうならそれだけで夫婦喧嘩の原因になるだろう。

 そんなこともあって、できるだけ身軽にしようと思ったのは自然のなりゆきだ。

 そこで目をつけたのは、仕事場に自分の持ち物はなんにも置かないこと。パソコンとスマホがあれば、仕事はできる。コピーやプリントは必要な分だけ有料で使えればいい。そのかわり、場所は選びたい。ミーティングや取材をするうえで立地は重要だからだ。

 以上の条件に従い、都内の一等地でフリースペースの会員を募っているところをリストアップした。そして、見学したのが六本木ヒルズと京橋エドグランだった。

 六本木ヒルズの49階にあるそれは、眺望も360度、とんがっている人が集まる場所だけあって刺激的だが、コロナ禍の影響でメンバー以外の利用はできないという。それで選択肢からはずれた。

 いっぽうの京橋エドグランのSENQ京橋は知人がメンバーだったことから、一度ミーティングに訪れたことがある。東京駅から徒歩5分、銀座線の京橋駅直結で、陸の孤島と言われる六本木より利便性は格段に高い。落ち着きのある街の雰囲気も自分に合う。ミーティングや取材もオーケー。かくして、内覧、書類審査、面談を経て、11月からメンバーとなった。

 晴れた日はJRで東京駅へ、雨の日は地下鉄を乗り継ぎ、京橋駅へ。周りには飲食店が選び放題。文教の街・市ヶ谷とは異なり、賑わいもある。すでに取材を2度行った。使い勝手はとてもいい。

 ふと思った。東京駅八重洲口に建設中のビルは国内最高層になるという。要らぬお節介だと思うが、リモートワークが定着するなか、テナントの需要はあるのだろうか。いつまでも価値観を変えられない人を、コロナウイルスはあざ笑っていると感じるのは私だけだろうか。

(201113 第1037回 写真は京橋エドグラン)

 

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髙久の著作

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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