多樂スパイス
HOME > Chinoma > ブログ【多樂スパイス】 > 仙石原のすすきを分け入る

ADVERTISING

ココロバエ
ココロバエ

仙石原のすすきを分け入る

2020.11.09

 箱根の仙石原にすすきの名所があることは知っていたが、久しぶりに行ってビックリした。大勢の人で賑わっていたからだ。

 言ってしまえば、ただのすすき野である。あでやかな花を咲かせるわけではない。しかし、広大な丘陵地に一面すすきという光景は、なんとも心を落ち着かせる。とりわけ晩秋のこの季節は穂先が金色にキラキラ光り、風情がある。いっせいに風になびく様子は、日本人の旅情をくすぐる。

 あらためて思った。すすきのような地味な植物でも人を呼ぶ力があると。秋に、萩の花とすすきを飾って月を愛でるという風流な習慣が、古くからあったからだろう。

 

 一家に遊女も寝たり萩と月

 

 芭蕉は『奥の細道』でそう詠んだが、言葉にはなくても、そこにすすきがあったことは明らか。言葉にないのに、自ずと情景が浮かんでしまうというところがすごい。おそらく、外国人に上の句を読んで聞かせても、すすきを思い浮かべることはないだろう。

 このように濃密な共通理解は他の民族にもあるのだろうか。

 日頃、当たり前だと思っていることがじつはそうではないのだと感じるこの頃である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(201109 第1036回)

 

本サイトの髙久の連載記事

◆海の向こうのイケてる言葉

◆うーにゃん先生の心のマッサージ

◆死ぬまでに読むべき300冊の本

◆偉大な日本人列伝

 

髙久の著作

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

 

お薦めの記事

●「美しい日本のことば」

今回は「月影(つきかげ)」を紹介。月の影であると同時に月の光でもある月影。とりわけ歌に詠まれる月影は、夜空からふりそそぐ月の光を言うのでしょう。続きは……。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

ADVERTISING

田口佳史講座ライブ配信
田口佳史講座ライブ配信

Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

多樂塾

Topics

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ