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紺碧の将

皇統の力

2020.08.13

 あらためて皇統の力を思い知らされた。武器で相手を威嚇するような、派手な示威行動はいっさいしない。ただ、そこに存在するだけ。それなのに、圧倒的な、いや絶対的な力を持続させながらこの国の民を心服させている。

 十数年ぶりに日光田母沢御用邸を訪れた。

 なんと味わい深い建物だろうか。日本最高レベルの手仕事が凝縮している。建築物はもちろん、什器や装飾物、庭の造作など、すべてが普遍的だ。あらゆるものが薄っぺらになっていく現代において、このような異空間がきちんと遺されていることのありがたみを感じないではいられなかった。

 なぜ、こういう形で遺されているのか。皇統だからだ。職人も料理人も庭師も、命がけで自分の仕事に取り組み、形にするという無私の心意気が濃縮されているから、なんとしてでも遺さなければいけないと思わせる。それを〝力〟と言わずしてなんと言う。

 この御用邸は日光出身で明治時代の銀行家・小林年保の別邸に、当時、赤坂離宮などに使われていた旧紀州徳川家江戸中屋敷の一部を移築し、その他の建物は新築して、明治32年に大正天皇(当時皇太子)のご静養地として造営された。その後、昭和22年に廃止されるまでの間、大正天皇をはじめ、3代にわたる天皇・皇太子がご利用になられている。

 

丸い額縁。フレームがあることによって一服の絵になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋根の交わり方も美しい。さりげないが、よく考えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天皇が謁見した謁見所。どんな謁見があったのか、想像をめぐらす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絨毯も上品で気高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンデリアと天井の格子が合っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梅の間にある梅の柄が描かれた襖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

釘隠しひとつとってもいっさい手抜きがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柴田松次郎画伯の「美人於芙蓉花遠昇四藝」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(200813  第1014回)

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