多樂スパイス
HOME > Chinoma > ブログ【多樂スパイス】 > 身体のバランサー

ADVERTISING

紺碧の将

身体のバランサー

2020.06.29

 わが家のアルコール・エンゲル係数はけっこう高い。妻と二人暮らしだが、月に日本酒を一升瓶で7本、ビールを3ケース弱、ウイスキーを2本ていど。バカ飲みはしないが、毎日時間をかけて一定の酒量を楽しむ。

 アル中になってはいけないと、今年の春頃から5のつく日(月に3回)はビール1本だけにしている。おかげで6のつく日の酒の旨いこと!

 朝、日本酒を一升瓶から四合瓶に移し替えるときだった。前夜、あれほど芳醇な香りと思えた酒が、顔をそむけたくなるような臭いに感じるのだ。酒自体は朝も夕も変わっていない。変わっているのは、自分の身体だ。自分の身体の感覚器官の感じ方が変わっている。

 これぞセンサーだと思った。体はセンサーを変えることによって、主の行動を変えようとしている。つまり、朝は飲むんじゃないよと教えてくれている。

 風邪をひいたときもそうだ。食べ物が苦く感じる。それは、食べなくていいよ、体を休ませなさいと言っているのだ。「風邪をひいたらたっぷり栄養をつけて」と言って、無理やり食べさせる人がいるが、それは身体のセンサー=バランサーを無視しているということになる。

 ことほどさように身体のメッセージに耳を澄ませば、判断を誤ることはない。

 ところで「身体」と書いたが、かつての日本では、魂と体がひとつになったもの、生きている体が「身」だと玄侑宗久氏が書いている。たしかに「身ども」といえば、私という意味である。

 身体を健やかに保つためには、自分の内なるバランサーを信用することだと思っている。定期検診や人間ドックよりはるかに信用できる。

 

本サイトの髙久の連載記事

◆海の向こうのイケてる言葉(新コラム)

◆ネコが若い女性に禅を指南 「うーにゃん先生の心のマッサージ」

◆「死ぬまでに読むべき300冊の本」

◆「偉大な日本人列伝」

 

髙久の著作(オススメ本)

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

 

お薦めの記事

●「美しい日本のことば」

 今回は、「五月雨」を紹介。「さみだれ」です。梅雨の季節に東北を旅していた松尾芭蕉も――五月雨を集めて早し最上川 と詠んでいます。続きは……。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

(200629 第1003回)

ADVERTISING

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ