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こころの表れ方

2020.03.19

 最寄り駅の近辺をときどきゴミ拾いするという知人に訊いたことがある。「どうして物を捨てるのかと腹立たしくならないですか」と。

 くだんの知人は平然とこう答えた。

「思わないですね。そもそも人になにかを期待していないですし、人間のいろいろな行いを見れば、道路にゴミを捨てる人がいてもまったくおかしくはないですよ。ただ自分が気持ちいいから拾っているだけです」

 なるほど、と思った。人間のさまざまな所業から見れば、ゴミを捨てることなど可愛いものだし、世の中をきれいにしようと思ってやっているわけではない。つまり、奉仕活動ではないということ。徹頭徹尾、自分のためなのだと。

 それを聞いて、その人は信用できる人だと思った。声高に「環境をよくするため」と言われたらちょっと引いてしまうが、そういう理由なら腑に落ちる。以来、懇意にさせていただいている。

 そのことと関係はないが、早朝、京都の寺町通りを歩いていたら、右上のような看板に出くわした。「ヘタな標札屋」とある。

 思わずニンマリとしてしまった。おそらく、この店の主人は、自分ではヘタだと思っていないのだろう。それどころか、すご腕の職人だという矜持が見え隠れしている。ただ、それをストレートに表すのは野暮天丸出しで嫌なのだ。まちがっても「どうだ! スゴイだろ!」と思わせるような文言は掲げたくないにちがいない。

 わかるわかるその気持ち、と妙に頷いてしまった。広告・出版会社を経営する人がそんなことでいいのか、と自問しなくもないが、こころはもともと複雑な万華鏡のようなもの。単純に言い切る方がどうかしている。その点、昨今大流行のサプリメントのコピーなど、いかがわし過ぎて、もんどりうってしまう。用心用心。

 

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(200319 第978回)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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