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紺碧の将

静と動の東福寺ワールド

2020.03.15

 私はとくだん仏教を信じているわけでも、まったく信じていないわけでもない。仏教もキリスト教も当初の教えから離れ、後世の人たちのさまざまな思惑によって恣意的に変えられたことは残念だと思っている。そのなかにはいいものもあれば、悪いものもある。もともと同じ出発点なのに諸派で言い争ったり、カトリックとプロテスタントが骨肉の争いをしているのは滑稽でしかない。その点、いちばんマジメ(?)な宗教は、イスラム教なのかもしれない。

 では、なぜそういう人間がお寺や神社へ行くかといえば、〝場〟がいいから。世俗の醜悪さに辟易してきたとき、寺社の結界に身を置き、心を落ち着けるのは陶酔ともいえる至福の時間だ。

 好きな〝場〟はいくつもあるが、京都からJR奈良線でひとつめの東福寺駅で降り、歩いて約10分のところにある東福寺もそのひとつ。大伽藍のわりに、あまり知られていない。ゆえに、人でごった返ししていることもあまりないようだ。

 

東福寺の魅力は、橋を渡っての場面転換である。境内を横切るように洗玉澗(せんぎょくかん)という小さな谷があり、川が流れているのだが、その上に架かる臥雲橋を渡って日下門から境内に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通天橋を歩きながら広大な庭を散策する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あいにく雨だったため、庭園内に進まなかったが、春や秋はさぞ美しいだろうと予感させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次のハイライトは、言わずと知れた方丈庭園。枯山水の美しい庭園だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

庫裡の屋根が描く紋様にも見惚れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国宝「山門」も見どころだ。応永12(1405)年頃に再建されたもので、禅寺の三門としては日本最古にして最大という。その北に建つ法堂の隙間から覗くと龍の天井画が見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本坊の庭も見逃せない。苔を配した市松模様の庭で、かの作庭家・重森三玲(しげもりみれい)の手によるもの。なんと、三玲のデビュー作だという。

 

 紅葉のシーズン、ゆっくり境内を散策したいものだが、さすがにその頃はコロナウイルス騒動も終息し、人で賑わっていることだろう。

 

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(200315 第977回)

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