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紺碧の将

「生活の軽妙化」

2019.11.08

 還暦というのはやはりダテではないようだ。いろいろな物事がめまぐるしく変化している。自然にそういう流れに向かっているのだろう。

 私はもろもろの状況を鑑み、「生活の軽妙化」というコンセプトを打ち出した。軽量=ダウンサイジングだけではなく、生活に妙味を加えること。自然災害もそうだが、「備えあれば憂いなし」。今後、すべてが右肩上がりになっていくことはありえないだろうから、不測の事態が起きても、あるいは収入が減っても生活の質が変わらないよう、あらゆるものを見直していこうというものだ。

 10日ほど前、左脚の膝に痛みを感じた。スクワット100回を始めたからか、走る時に痛めたのか。

 ずっと走ってきたため、運動ができないのはつらい。そこで、週に2度ほど市ヶ谷の事務所(Chinoma)まで歩くことにした。ただ、パソコンを持ち歩くため、通常の提げカバンでは歩きにくい。体の片方だけに負担がかかる。

 そこでリュックを買おうと思った。とはいえ、よく見かけるような、年寄りくさいものは嫌だ。ある日、腕時計の電池を交換するため近くのデパートに行ったついでにメンズフロアを覗いてみたら、出会いがあった。

 陳列棚の下にそれはあった。見つけてから3秒くらいの出来事だった。「これにしよう!」と。それがCOACHのリュック。

 さっそくこれを背負って、出発。

 

まず国立能楽堂のある千駄ヶ谷通りに出る。この通りのイチョウ並木は美しい。変な剪定をしないところがいい。

 

 

右手に建設中の新国立競技場が見え始める。道路を挟んだ正面に洒落たホテルができた。三井ガーデンホテル 東京外苑プレミアだって。これも隈さんのデザインかな。

 

 

 

外苑の中心部、正徳記念絵画館の前を通る。明治の歴史はこのなかに展示されている大きな絵を見れば、一目瞭然。

 

 

次いで、京都造形大と東北芸工大の外苑キャンパスの前を通る。

 

 

外苑東通りの権太原交差点。左に明治記念館がある。ここをまっすぐ抜ける。

 

 

右側にある広大な赤坂御所沿いに歩く。下って上って……。それにしても広い。平成上皇・皇后両陛下はここにお住まいだ。

 

 

赤坂迎賓館の前へ。何度かなかに入ったが、さすがは外交の最前線。威容がある。

 

 

四谷駅前に高層ビルを建築中。

 

 

四谷からJR中央・総武線に沿って敷設されている並木道を市ヶ谷駅まで歩く。気持ちいいのひとこと。

 

 

途中、曲がった小径が。こういうなにげない風景がいい。

 

 

外堀通り沿いを歩き、ときどき外堀を眺める。

 

 

そのうち目指す場所に到着。1Fのカフェ「ケイティー」のコーヒーが私を待っている。

 

 

 という遠回りのコースで約55分。音楽を聴きながら絶好のウォーキングであった。こんないい思いを味わって、しかもいっさい費用はかかっていない。これも生活の軽妙化のひとつである。

 

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(191108 第945回)

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