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ダ・ヴィンチ発、18世紀の会津行き

2019.10.07

 会津に、つい笑ってしまうほど面白いお堂がある。その名も「さざえ堂」。さざえの形に似ているからそう呼ばれているが、正式には円通三匝堂(えんつうさんそうどう)という。高さ16.5メートルの六角三層建築だ。白虎隊の自刃で有名な飯盛山にある。

 なにがユニークかって、世にも珍しいらせん階段の二重構造になっている。らせん階段は珍しくないが、上りと下りが別々になっている二重構造は珍しい。堂内がすべて一方通行になっており、上る人と下る人がすれ違うことはない。

 調べてみると、フランスはロワール地方にあるシャンボール城にも同様の階段があるという。10年以上前、その城を訪れているが、覚えていない。なんと、その階段の設計はダ・ヴィンチではないかと言われている。ダ・ヴィンチのスケッチに二重構造のらせん階段が描かれているのだ。

 シャンボール城の築城は16世紀。なぜ、18世紀の日本にその技術が伝えられたかといえば、蘭画家の佐竹義敦が17世紀にロンドンで出版された『実用透視画法』に掲載されていたダ・ヴィンチのスケッチを模写し、それが会津のさざえ堂に応用されたのではないかと推測されている。真偽のほどはともかく、1796(寛永8)年に日本で建立されたお堂の内部が二重構造のらせん階段になっているのは事実である。

 堂に入り、右回りに上っていく。「らせん階段」と書いたが、正確には階段ではなくスロープだ。滑り止めとして、ほどよい間隔で杭が打ち付けられている。天井まで上ると、あとは左回りのスロープを下るという構造だ。堂を出て全体を眺めても、いまいちその構造がわかりにくい。狐に化かされたような感覚に陥る。いったい、だれが造ったのか? 残念ながら、その記録はないようだ。

 

 ふと思った。巻貝の形を模したニューヨークのグッゲンハイム美術館はフランク・ロイド・ライトの名作だが、二重構造のらせんスロープにしたら思白かっただろうな、と。おそらく、フランク・ロイド・ライトはシャンボール城の二重構造らせん階段を知っていたはずだが、それを応用していれば、よりユニークで実用的であったと思う。

 それにしても、我が同胞のコピー能力には脱帽である。

 

本サイトの髙久の連載記事

◆ネコが禅をベースに、女の子に人生の指南 「うーにゃん先生の心のマッサージ」

◆「死ぬまでに読むべき300冊の本」

◆「偉大な日本人列伝」

 

髙久の著作

●『父発、娘行き』

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

●『結果をだす男 中田宏の思考と行動

 

「美し人」公式サイトの「美しい日本のことば」。文化遺産ともいうべき美しい言葉が紹介されています。

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(191007 第937回)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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