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ザンネンな野口英世記念館

2019.10.11

 小学生の頃、野口英世の生家を訪れたことがある。そのときの記憶とあまりにもかけ離れた光景に驚いてしまった。

 昔は、あばら家がぽつんとあるだけだった。かなり貧しい生活だったことは、一目瞭然だった。しかし、その侘しい住まいが、私の想像力をかきたてた。ここで野口英世はどんな少年時代をおくったのだろう? 母シカさんとどんな会話を交わしたのだろう? 想念は無限に広がった。

 しかし、現在の生家から感じるものはほとんどない。巨大な雨よけが生家を覆っているし、前の庭は石板が敷き詰められている。

 興ざめだ! 

 フェイクだ!

 

 たしかに、隣の野口英世記念館はよくできている。野口英世がどのような研究をしたのか、詳しく知ることができる。母シカさんが英世に宛てた手紙をはじめ、見たいものが満載だ。

 しかし、である。頭で理解するのと、心で感じることは別ものだ。少年時代の私が想像をかきたてられたように、その地に立って思いを馳せることができるかどうか。残念ながら、今保存されている生家を見ても、子供の頃の野口英世を想像することはできない。作り物だからだ。

 いったい、だれがこういう内容にしようと指揮をしたのか。おそらく、想像力のかけらもない人にちがいない。記念館はいいとして、肝心の生家は台無しだ。死んでしまっている。

 地元の偉人を顕彰するのなら、もっと方法があったはずだ。かえすがえすも残念でならない。「うーむ」と言ったきり、腕を組む髙久であった。

 

本サイトの髙久の連載記事

◆ネコが禅をベースに、女の子に人生の指南 「うーにゃん先生の心のマッサージ」

◆「死ぬまでに読むべき300冊の本」

◆「偉大な日本人列伝」

 

最近の髙久の著作

●『父発、娘行き』

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

●『結果をだす男 中田宏の思考と行動

 

「美し人」公式サイトの「美しい日本のことば」。文化遺産ともいうべき美しい言葉が紹介されています。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

(191011 第938回 写真上は野口英世生家、下は囲炉裏)

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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