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ココロバエ
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愚直な人が書いた、愚直な本

2014.01.12

プリント 愚直という言葉が少しずつ脚光を浴びているような気がする。これまで、「合理的に」「効率よく」「ムダを省く」などということが由とされてきたが(特に経営においては)、どうもそれだけではうまくいきそうにない。あるいは、仮に数字上はうまくいったとしても精神的な満足感は得られにくいということがわかってきたからかもしれない。

 やっぱり、人間は体験しないとわからない生き物らしい。ほんとうはそんなこと、体験しなくてもわかりそうなものを。などと、自分だけ知っているような書き方をすると、上から目線になってしまいがちだが、実際にそう思うのだ。だって、皆さんもそうでしょう? もし、近くに合理性一辺倒、つまりムダがなく、抜け目のない人がいたら、あまり近づきたくないと思うでしょう? おそらく、そういう人は芸術とか自然の移ろいなどといったことにはあまり興味を抱かないのではないかと思う。だって、効率よくないもの。そういう人が経営する会社で働く人は、仕事を楽しいと思えるのだろうか。人間は機械じゃないからね。

 そんなおり、『「愚直経営」で勝つ!』(PHP研究所)という本が出版された。著者は、私の友人でもある三村邦久氏。

 三村氏が選んだ愚直な経営者が9人紹介されている。なんと驚くことに、私もその中の一人として紹介されている。

 さて、私が愚直な経営者かどうかは、自分でも「?」と思っている。ただ、自分の気持ちのおもむくままに仕事をしているのであって、経営のスタイルなどという大げさなものではない。第一、出社しない日の方が圧倒的に多く、見ようによっては「ほったらかし」としか映らないだろう。それに、これは出版社の意向なのだろうが、私は「勝つ!」ために経営をしているのではない。少しでもいい仕事をしていくことができる仕組みをつくりたいと思っているだけだ。そのためには、作為的なことを極力排除した方がいいと思い、

それを実践しているだけだ。

 それよりも、三村さんの方が愚長だなあと思っている。つまり、三村さんは愚直な人を選んだつもりらしいが、ほんとうは本人がいちばん愚直なのだ。だって、どう見ても、経営コンサルタント然としていないもの。「自分が、自分が」という押しは強くないかわりに、時間とともに人柄の良さがじわーっとしみ込んでくるような、そんなタイプの人だ。はっきりいって、私が思い描く経営コンサルタントのイメージとはほど遠い。

 三村さんのあとがきがいい。愚直な経営者をこう説明している。

 「厳しいが本当は優しい。頑固だが柔軟性がある。へそ曲がりだが本質を大事にする。規律を重んじるが常識は疑う。わがままだが気配りができる。腹の中はわかりにくいが、腹黒くはない。武士道のような精神性を大事にするがお金の大切さも知っている。苦労があっても涼しい顔。現実主義者だが遠くも見つめている。大勢に囲まれているが孤独な人……。こうしたところに、男の美学と哀愁という人間的魅力が醸し出されるのです。」

 いいね。まさに私が目指すところでもある。

 本をご購入したい方は、右記へ。https://www.compass-point.jp/book/b_guchoku.html

 三村さんが経営する会社のサイトは、http://www.i-partner.co.jp/

(140112 第480回)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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