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紺碧の将

第15回タカタラ賞、発表!

2026.09.14

 今回は日本橋三越本店で開催されている「第73回日本伝統工芸展」から、タカタラ賞を勝手に選んで発表したい。

 最初に断っておきたい。最も鮮烈な感動を味わったのは、高松宮記念賞を受賞した須藤靖典氏の「会津消粉蒔絵漆箱『谷渡りの風』」であることを(右)。シダの葉の重なり具合やこぼれ落ちる滴の表現がなんとも風情がある。しかし、撮影ができないということで、今回の選からはずした。NHKの「日曜美術館」でも詳しく放映されたので、観た人も多いだろう。

 今回の展示を観て、「やはり、日本人は伝統工芸、用の美が好きだよなあ」とあらためて思った。どれも精緻で美しい。作者の魂がこもっている。本来なら、すべての作品にタカタラ賞をあげたいくらいだ(そんなの要らないと言われそうだが:笑)。極限まで技と感性を研ぎ澄ませ、小さな物のなかに大きな宇宙をつくりあげる術は、他のどの民族にも真似ができないのではないかとさえ思える。

 見応えがある展示会だが、会場がまずい。デパートの催事場と美術・工芸は合わない。作品と作品が重なり、その向こうに人の群れが見え、ザワザワしている。毎回思うのだが、なぜ三越で? 国立新美術館や東京都美術館では開催できないのだろうか。なにか〝大人の事情〟があるにせよ、強く一考を促したい。

 

 では、9点ばかり紹介しよう。

大木淑恵/花籃「濤声」。この作品も今回の華としてクローズアップされた作品で、日本工芸会総裁賞を受賞している。籐工芸はどちからといえば地味な印象だが、この作品は女性ならではの柔らかい感性が際立っている。この色、この曲線、そしてこのアイデア……、いずれも高いレベルで結実している。この花籃にはどんな花が似合うのか、あれこれと考えるのも興趣だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江花美咲/千筋組盛籠「回遊」。この形も面白い。周辺は波打っているが、物を置く中央部はしっかり重みを受け止める工夫がなされている。回遊と名付けたセンスも光っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竹村陽太郎/碧釉鉢。一見してルーシー・リーの影響を受けているとわかる鮮やかなブルーが特徴。しかし、それが嫌味になっていない。中央にある銀色の金属は何なのだろう。ルーシーが見たら何というか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井戸川豊/銀泥彩磁鬼灯文陶筥。まず蓋に描かれた2つのホオズキに目を奪われる。彎曲した波線に導かれ、目を側面に転じると、再びホオズキが。この企みがいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石王丸史代/有線七宝合子「曙光」。これはクレマチス? テッセン? 花びらの形や色合いが妖艶で、ただならぬ気を放っている。つい掌で包んでしまいたくなる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉川達士/木目金花瓶。この形と紋様、そしてテクスチャーはいったい何に着想を得たのか。自由な気風を感じる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小枝真人/染付金魚鉢「游舞」。金魚鉢といえば、よくあるガラス製のあれをイメージするが、こういう形もある。オフホワイトの地に遊び、舞う金魚。粋だなあ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清水酔月/萬古線文急須。用の美といえば、急須はその最たるものの一つであろう。用途は明白。茶を淹れる、それのみだ。取っ手があって注ぎ口があって蓋があって一定量のお湯が入るだけの容量。それらの必須条件を守ったうえで、いかに独自の美に高められるか。この急須は主に銀の線で構成されているが、微妙な凸凹に触感が刺激されそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高田和司/「薬泉」。ちょっと前に芝木好子の『面影』を読んだからか、人形作家への関心が高まっている。どういう材料を用いるかは、作者の自由。なんでもあり。問われるのは、いかに人間の本質を表出させるか。人形は生活の役に立つ道具ではないが、こういうジャンルが今に遺っているというのが救いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(260913 第1335回)

 

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