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紺碧の将

天からのギフトがやって来た

2021.08.16

 かねて予告していた通り、8月1日、2匹の子ネコがわが家にやって来た。6月20日生まれだから、生後約40日を経てやって来たことになる。本欄にもたびたび登場したうーにゃん(海)が死んでから、2年4ヶ月が過ぎていた。

 うーにゃんの遺骨はまだわが家にある。それが入った益子焼の花器に向かって、「うーにゃん、新参者がやって来るが異存はないだろう?」といちおうことわっておいた。

 引取先は宇都宮。車のない生活だから、どうやって連れてこようかと案じた。レンタカーにしようかと思ったが、東京オリンピックの真っ最中。わが家は国立競技場に近いため、この近隣は通行止めになっているところが多い。結局、在来線で連れてくることにした。

 わが家で飼う2匹だけではなく、いっしょに生まれた5匹すべてを引き取った。これにはワケがあって、われわれが選んだあと、残りの3匹は外ネコ(というか地域ネコ)にされてしまうというのだ。それを聞いて事態を危惧した娘が友人知人に聞いてまわり、めでたく3匹の引き取り手を見つけた。全員、都内在住だから、まとめて連れてくればいい。

 湘南新宿ラインのグリーン車の最前列に席をとった。子ネコたちは予想以上に大人しかった。いや、不安でしかたがなかったはずだ。新宿駅の構内では、すさまじい騒音の洪水を体中に浴びて不安が高まり、ずっとミャーミャーとか細く切ない声で鳴いていた。駅の構内、特に新宿駅の騒音は半端じゃない。ひっきりなしに電車がやって来ては出発する。その都度、けたたましいベルが鳴り、聞き取れないほど大きな音量でアナウンスが流れている。

 なにはともあれ、5匹は無事わが家に着いた。その日のうちに2匹が引き取られ、唯一のオスネコも翌日引き取られていった。

 わが家で飼うことにした2匹は、キジトラ(グレーだからサバトラ?)と三毛。当初、名前は海のあとがまということで空(くう)と風(ふう)と決めていた。しかし、東京オリンピックでの阿部詩選手の活躍を目の当たりにし、妻から詩がいいのでは? という申し出があった。娘が「ママはいつも名前をつけさせてもらえないね」と言ったことが脳裏をよぎり、それも考慮して風を詩(うた)とした。これであれば、東京オリンピックの年にやって来たということが記憶される。また、詩を訓読みするのに合せ、空を「そら」と読むことにした。

 彼女たち(2匹ともメス)が来てからというもの、わが家の空気が一変した。とにかく、これこそが新鮮な命なのだと思い知らされている。空と詩にとって、すべてが好奇心の対象。たとえば、葉っぱを手で押しやると戻ってくるのが面白いらしく、ずっとそれをやって遊んでいる。人間から見れば、そんなことは当たり前。驚きでもなんでもない。

 つまり、知っていることが増えると、自ずと感動や感銘が減るということ。子供の時の好奇心を同じレベルで維持することはできなくても、努めてそれらを失わないようにすることはできる。

 そのためには、初体験を増やすことだろう。それまでに知らなかったことを学び、知らない土地に出かけ、初めて会う人を増やす。ずっと同じところにいて、同じことをして、同じような考えの人と交わるということは、心の安定にはつながるかもしれないが、新たな感動は生まれにくいともいえる。子ネコたちは「今」に集中して全身全霊で遊び、エネルギーが切れるとすぐに眠る。耳元で名前を呼んでも微動だにしない。すごい! 命の煌きだ。

 

移動中。電車の中の5匹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1日だけわが家にいた茶トラ(唯一のオス)。左は詩。わが家に来た翌日に、こんな無防備な姿である。人間を信用している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あくまでも無防備な寝姿を披露する詩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空は詩より体が小さいが、姉妹喧嘩ではいつも優勢勝ち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(210816 第1089回)

 

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