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紺碧の将

家康公検定を堪能

2026.10.19

 昨年の今頃のこと。豊田市在住の知人と拙著『紺碧の将』をきっかけに歴史の話になった。彼曰く、「家康が好きで、毎年、家康検定を受けているんです。毎回落ちていますけど(笑)」。

 そんなものがあるんですか? じゃあ僕も受けてみようかなと話が進み、今年の検定試験に臨んだ。

 場所は家康の生地(聖地ともいえよう)岡崎。予想外に女性が多く、小学生くらいの子供の姿もあったことに驚いた。

 毎回出題のテーマが変わるらしく、今回は「家康公とその系譜」。これは願ってもないテーマだと思った。なぜなら、徳川幕府の初期、家康・秀忠・家光と中興の将軍吉宗、そして最後の将軍慶喜くらいは知っていても、それ以外はほとんど知らない。どういう将軍がいて、誰が幕閣として補佐し、どんな政策を実行したのか。江戸時代260余年の大まかな流れはどうだったのかなど、あらためて学ぶ機会になると思ったのだ。

 あにはからんや、とても貴重な機会となった。まず思ったことは、「やっぱり人間は変わっていない!」だった。どういう政策をすればどういう結果になるのか、その作用反作用はまさに現代社会を見るかのごとく。それも当たり前といえば当たり前。人間の本質は変わらないのだから。権力への志向と執着、損か得か、他人からの圧力にどこまで耐えられるか。あるいはどういう人物を支持し反発するかなど、個別の違いはあっても大多数の人間の反応はほぼ収斂する(現代のビッグデータ同様)。

 結果は11月20日過ぎに届くはず。よもや落ちることはあるまいが、何点とれるか楽しみだ。

 

 試験の後、くだんの知人に岡崎を案内していただいた。家康に反旗を翻した一向宗の門徒らが拠点とした勝鬘寺、3大東照宮のひとつに数えられる滝山東照宮、桶狭間の戦いの後、家康が逃げ込み、自害しようとしたところを登誉上人に諭されて思いとどまったという逸話で知られる大樹寺、八丁味噌を製造・販売しているカクキューなど、いずれも印象深く、至福のひとときであった。

 印象深いといえば、滝山寺の山門で驚くべき歴史的事実を知った。その山門の工事にあたっていた藤原光延が、垂木を逆さに打ったことを恥じて自害したという。その塚が山門の前にある。昔の職人は命懸けで仕事にあたっていたことがわかる。恥をもっとも不名誉なこととしていたのだ。藤原光延にとって、初歩的なミスをした宮大工という汚名を抱いたまま生き続けることは地獄で釜茹でにされるよりも耐えられないことだったにちがいない。恥という概念をみじんも持たないトランプに、この話を聞かせてあげたいが、「バカげている。そんなことをして、いったいいくら儲かるのか」と言うだけだろう。

 

副読本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験会場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東岡崎駅前にある家康像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カクキューの味噌蔵。巨大な樽と重しの石。樽を作る職人も石を積み上げられる名人もいまでは数少ないという

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤原光延の塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(261019 第1340回)

 

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