第17回タカタラ賞、発表!
今年の夏は雨が多く、すっきり晴れる日が少なかったが、ここにきて秋晴れが続いている。青空の下、歩くだけで心身がウキウキする。いつにも増してよく眠れるし、食べ物・飲み物も美味しい。これって、幸福の基本だよなあとしみじみ感じている。
そんな季節に公募展を見るのも楽しい。
今回は、一陽会展を。
一陽会は1955年、二科会を退会した鈴木信太郎、野間仁根、高岡徳太郎らによって設立された。既成の画壇と一線を画したいという気概は、今も残っていると感じる。
では、勝手に私が選んだ9点を勝手に紹介したい。
巻砂紀恵「この場所で」。平面の処理は明らかにマティスの影響だろうが、落ち着いたトーンが上品だ。身の周りの空間をこのように捉えられたら心も弾むだろう

山田芳之「水際」。高岡徳太郎賞を射止めただけあって、種類の異なる葉っぱや水面の描写が繊細だ。写実でありながら、それを超えた空気感がある

後藤美代子「いのち 2026」。母親の体にくるまれた赤子。文字通り、肌の色は赤い。実際の色とは程遠いが、不思議と違和感がない。母と子の命の連環を感じさせる

清水昌代「夢の中へ」。見ているだけでワクワクする。羊が一匹、羊が二匹……と数えるうち、夢のなかに誘われる。童画のようでもある。この大胆な着想はどこから来たのか?

杉村哲子「樹 ’26-Ⅰ」。一転してモノトーンの寂しげな風景。冬、葉っぱが落ちて剥き出しになった枝を見るのは興味深いが、この作者も同じタイプなのだろう。細かい枝は血管のようでもあり、大地を縫うように流れる河川のようでもある

平秀信「廃屋2」。実物はおそらくボロボロで、近寄りがたい空気を醸しているだろう。しかし、それも見方を変えるだけで、「時が堆積した、アートな家」になる。美術は、世の中の見方を変えるアプローチでもある

藤井悟「里の冬」。いかにも寒々しい。雪の表現は難しい、が、この作者は白に微妙な色を加えることによって、底冷えするような空気感を表現している

彫刻の部から。土井敬真「眠るハル」。木を削ってネコを表す。「ネコが題材ならなんでもいいんだね」と言われそうだが、これでも選んでいるつもり。いや〜、ネコはいい。いや、この彫刻はいい

平野正春「The cats and Masuda-san Ⅱ」。またまたネコが登場。人間と2匹のネコが白というアイデアがいい。飼い主とネコたちの心はつながっているのだろう

(261011 第1339回)
髙久多樂の新刊『STAND ALONE』発売中
https://www.compass-point.jp/book/standalone.html
本サイトの髙久の連載記事















