愛猫の禅的生活
わが家の愛猫・空と詩が4歳の誕生日を迎えた。実際にわが家に来たのは8月1日のことだが、4年前、5人きょうだいの姉妹としてこの世に生まれたのである。
どちらが姉かはわからない。ただ、2匹のふるまいを見ていると、詩(三毛猫)がお姉さんかなあとは思う。そんなわけで、つい「詩おねえちゃん」と呼んでしまい、空は容姿が男っぽいので「空くん」と呼んでしまう。
どんなに豊かな社会になっても人間は煩悩の焔に炙られ、心身を病んでいる人が多いというのに、ネコたちの生き様はどうだろう。過ぎてしまったことやこれから起こり得ることにはいっさい頓着せず、ひたすら目の前のことに没我しているか、心をまっさらにして悠然としている。その真髄をひとことで表すのは難しいが、強いていえば「一行三昧・而今・本来面目・寂然不動心・只在目前・忘筌・如心水・無作妙用機・応無所住而生其心・一切唯心造也・天真任・両忘・芭蕉葉上無愁雨只是聴時人断腸・桃花紅李花白・廓然無聖・山中無暦日・十方一家風・即今当所・花無心招蝶蝶無心尋蝶・無師独悟・求心歇処即無事・山僧活計茶三畝漁夫生涯竹一竿・善射不中的」という禅的境地をまとめて実践しているとでも言おうか。いやはや〝達人〟であります。
それにしても、せっかくケーキを買ってきてローソクを4本立てたというのに、詩は他のことに気を取られ、空は寝ているところを起こされて眠そうな表情をしている。思い通りにはいかないものである。
(250622 第1276回)
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