どんなに時代が変わろうとも、本が人類の知的財産であることに変わりはありません。
少年の時分より、本を師と仰ぐ髙久 多樂がさまざまなジャンルから独断と偏見で選んだ300冊の本。
本選びの際の参考書として、活用してください。【テキスト/髙久 多樂(髙久 多美男)】
Topics
file.153『怒りの葡萄』ジョン・スタインベック 大久保康雄訳 新潮文庫
1929年の世界恐慌で瀕死に陥ったはずの資本主義は、新たに耐性を獲得したウイルスのように猛威をふるう。30年代末、アメリカに発生した干ばつと砂嵐をきっかけに、生きる糧を求めてニュー…
file.152『清く美しい流れ』田口佳史 PHP研究所
本書のまえがきに、こうある。──日本には、歴史を貫いて流れる一筋の水脈があります。私はこれを「清く美しい流れ」と呼んでいます。これこそが、日本らしさの根源なのです。日本人とは、この…
file.151『錦繍』宮本輝 新潮社
——蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。冒頭が印象的だ。錦繍とは、日本の山河が織りなす美しい風…
file.150『ナチュラル・ナビゲーション』トリスタン・グーリー 屋代通子訳 紀伊國屋書店
かつて、方向感覚を磨くことは、人間が生きていくうえで必須だった。食料を求めて遠くへ出かける。しかし、棲み家に戻れなければ、雨露もしのげず、暖もとれず、備蓄した食料を食べることもでき…
file.148『いのちの仕組み』石原克己 和器出版
著者のプロフィールを見ると、「医療の根本は、人体が本来持つ自然治癒力を引き出し、治癒の過程を手助けすることにあるという考えのもと、鍼灸・漢方などの伝統医療から科学機器を利用した現代…
file.147『太陽と痛み』ヘスス・カラスコ 轟志津香訳 早川書房
小説には、作家が生きている場所の空気感が表れる。この作品を読んだとき、スペイン国内を飛んでいるときの映像が甦ってきた。低空飛行だったため、樹木のほとんど見えない赤茶けた大地が克明に…
file.146『食に生きて』辰巳芳子 新潮社
〝いのちのスープ〟で知られる辰巳芳子さんは、ちょっと近寄りがたい雰囲気を醸している。以前、辰巳さんが主宰している料理教室をテーマにした番組を見たことがあるが、受講者の女性は叱られて…
file.145『天地明察』冲方丁 角川文庫
軽妙で清々しい時代小説である。江戸時代、改暦のために各地を歩いて天文観察をし、ついにひとつの真理にたどり着いた若き算額者・渋川春海(2代目安井算哲)の話。春海は囲碁打ちの天才でもあ…
file.144『聴く鏡』菅原正二 ステレオサウンド
帯のコピーがいい。「趣味は面倒なものに限る。面倒は愉しみを持続させ、楽はアクビをさそうだけ」岩手県一関市にあるジャズ喫茶「ベイシー」のオーナー菅原正二氏の言葉である。その店の特色は…
ADVERTISING