海の向こうのイケてる言葉
HOME > Chinoma > 海の向こうのイケてる言葉 > Time and tide wait for no man.

ADVERTISING

紺碧の将

Time and tide wait for no man.

ことわざ

 一般的には「歳月人を待たず」と訳されているが、その場合の出処は陶淵明の詩である。つまり、月日の流れは待ってくれないのだから、その有限な時間を有意義に使いなさいという意味。同じような意味をもつことわざで「光陰矢のごとし」もある。いずれにしても、人生という時間の有限性を表している。

 しかし、頭ではわかっていても、それを自分のこととしてとらえることは、そう容易ではない。特に若い時分は「この時」がいつまでも続くと錯覚してしまう。だから躊躇なく20年後、30年後の話をする。25年の住宅ローンを組む。

 ところが、ある時期、時間の有限性に気づかざるをえない場面に遭遇する。多くの場合、それは容姿の変化だったり体力や気力の衰えだったりする。だから、それらは忌むべきものではなく、むしろありがたいものである。時間の有限性に気づくことなく、最期まで時間をムダに使っていたとしたら、後悔の多い人生になるかもしれない。

 英語の「Time and tide wait for no man」も大筋は同じ意味だろう。もちろん、Time と tideで韻を踏んでいる。Tideは潮の干満のほかに「時流」という意味もあるから、チャンスを逃すなというニュアンスが強いようだ。

 余談ながら、ローリング・ストーンズの曲に「Time waits for no one」があるが、「Time and tide wait for no man」をもじったものだろう。このコラムにはまったく関係ないが、この曲のミック・テイラーのギターさばきはなんとも味わいがあった。

(第10回 200627)

 

本サイトの髙久の連載記事

◆多樂スパイス

◆ネコが若い女性に人生の指南 「うーにゃん先生の心のマッサージ」

◆「死ぬまでに読むべき300冊の本」

◆「偉大な日本人列伝」

 

髙久の著作(オススメ本)

●『葉っぱは見えるが根っこは見えない』

https://www.compass-point.jp/book/happa.html

 

お薦めの記事

●「美しい日本のことば」

 今回は、「五月雨」を紹介。「さみだれ」です。梅雨の季節に東北を旅していた松尾芭蕉も――五月雨を集めて早し最上川 と詠んでいます。続きは……。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

ADVERTISING

Recommend

記事一覧へ
Recommend Contents
このページのトップへ