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紺碧の将

判断力を低下させる同調圧力

2020.12.11

 世界の新型コロナウイルス感染症を見ると、日本は抑え込みに成功している方だと思う。理由はいろいろ考えられるが、それはそれとして……。

 私が危惧しているのは、消毒のし過ぎによって(仕方がないのだが)雑菌への抵抗力が著しく減退していることと、国や自治体が示す感染防止のガイドラインに盲従することでますます判断力がなくなるということ。もともと日本人は自分で考えて行動することが苦手な民族だ。なんでもかんでも〝お上〟の指示通りにすればいいと思っている人が多い。今回のコロナ禍はその傾向をさらに助長しているように思えてならない。自己主張が強すぎるのも困りものだが、なにごとも行き過ぎればバランスを崩す。

 だれかが示したガイドラインが「絶対」になると同調圧力が高まり、その基準にはずれる人を排除・攻撃するというお決まりのパターンになる。

 同調圧力が高いということは、監視社会になりやすいということだ。江戸時代の五人組ではないが、互いに監視させるという仕組みは、わずかなメリットがあるもののデメリットははかりしれない。役所や大企業をはじめ、学者や伝統文化の組織など同調圧力ではちきれそうだと私には映っている。

 先日、知り合いから聞いたこんなエピソードがある。

 その人の郷里が茨城なのだが、久しぶりに実家に帰った際、親しくしている近所の人にもお土産を持参し、親に預けたという。すると、親は困惑顔で「あなたが持ってきたのではなく、送ってくれたということにするからね」と言ったという。

 つまり、東京に住む子が帰省したとわかったら近所からなにを言われるかわからないという意味なのだ。

 それを聞いて笑うしかなかった。その親御さんや近隣に住む人たちからすれば「東京に住んでいる人」=「新型コロナに感染している人」なのだろう。まだ見たこともないオバケを想像してブルブル震えているようなもので、漫才の一場面のようにも思えるのだが、本人はおおまじめなのだ。リスクと言ったら、交通事故の方が危険かもしれない。だからといって車の運転をしないという人はいないだろう。

 いずれにしても、私は同調圧力の高い組織や地域に属するにはまったく適していないと再認識した次第である。

(201211 第1044回)

 

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