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復興のシンボル・花見山

2011.03.23

 地震の報道は日々絶え間なく続いているが、被害の全容はいまだにわからない。

とりわけ予断を許さないのが、福島の原発事故だ。東電の社員、自衛隊員、消防隊員らの決死の活動によって一進一退の状況が続いているが、一日も早く解決され、平穏な日に戻ることを願うばかりである。

 例年であれば、日本列島は桜前線の話題でもちきりだったろう。こういう状況にあっても、桜をはじめ多くの植物たちの蕾は春の到来に合わせて開花できるよう着々と準備を進めている。健気なものである。

 ところで、「福島」「桜」というキーワードを私の脳内検索にかけると、福島市の花見山の映像がパッと脳裏に映し出される。山一面に桜やレンギョウやコブシやハクモクレンなどが咲き乱れる、あの山である。

 まだ、あまり有名でない頃に知人から話を聞いて行ったことがある。その時、偶然、山の入口で “現代の花咲じいさん” こと阿部さんに会い、少しお話を聞くことができた。

 なにしろ植物の世話が大好きで、元旦も含め、毎日自分の山に分け入り、木々の世話をしているとのことだった。多くの人が花々を見ながら山を歩けるよう道を整備し、ところどころに休憩ポイントも作っていた。春の花見シーズンは山を無料で開放し、自宅に隣接した納屋を休憩所として開放するという徹底ぶりだった。

 やがて雑誌などで紹介され、一躍有名になっても入山料などを取ることはせず、せっせと木々の世話をするだけだった。

 数年前に行った時は約20万人を越える来場者があると聞いた。山から数キロの場所に市が広大な駐車場を設け、シャトルバスでピストン輸送をし、山の麓では市の職員や地元の人たちが花見客の応対をしていた。

 阿部さんは、なんと幸せな人かと思った。自分が精魂込めて面倒みた木々たちが自分の山で元気に咲き誇り、それを求めて全国各地から人々が訪れているのだ。仮に500円の入山料を徴収しても1億円を超える。しかし、そういうことはしない。

粋な花咲じいさんである。

 今年も花見山の桜たちは華麗に花を咲かせるのだろう。花見山こそ復興に向けて心をひとつにする日本人のシンボルになれる、と私は思う。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E8%A6%8B%E5%B1%B1%E5%85%AC%E5%9C%92

(110323 第238回 写真は福島市の花見山)

 

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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