多樂スパイス

風を見よう

2011.02.14

 子どもの頃、風と友だちになりたいと思っていたという友人がいる。

 風は明らかに実感できるのに、見えない。見えないが、自分の近くに必ずいるはず。その風と友だちになりたい……。

 じつに素晴らしい感性だと思う。

 たしかに大人の感性で計れば、荒唐無稽の話かもしれない。しかし、風はまちがいなく存在する。科学的に分析すれば、ただの空気の移動に過ぎないのかもしれない。だから、風という実体はなく、「無」なのだ、と。

 しかし、自然の営みをありのままに見つめれば、風という実体は明らかに存在し、私たちの周りでいろいろと自己の存在をアピールしていることに気づく。いつから、私たち大人は、風をただの空気の移動だと思い込むようになったのだろう。

 

 「最近、高久さんのブログは自然への畏敬かカズオさんか猫の海ちゃんかチャイナの横暴についての話ばかりじゃないか」という声が聞こえてきそうだ。

 たしかにそうだ。カズオさんと海はご愛敬として、自然への畏敬の念は増すばかり。どうして今まで、そのような単純なことに気がつかなかったのだろう。不思議で仕方がない。

 このブログの数回前、「空を見よう」というテーマでいくつか書いた。その調子でいえば、今回はさしずめ「風を見よう」だろう。風格、風情、風聞、家風、校風、風袋、風船、風邪……、本来の「Wind」という意味以外で使われる「風」のなんと多いことよ。それだけ、いにしえの人たちは風を感じていたのだろう。

 日常のなかで、しばし気を鎮め、風の存在を感じてみよう。きっと、あなたの内面で何かが変わるはずである。

(110214 第229回 写真は新宿御苑の池の風紋)

 

 

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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