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美し人
ココロバエ

自然再生エネルギーという名の欺瞞

2019.04.18

 山梨県甲府市から北杜市にかけてのエリアは好きなところである。どこを見ても立派な、高い山が聳えている。甲斐駒ケ岳、北岳などの南アルプスや富士山、そして八ヶ岳が空の一部を遮るように鎮座しているのだ。その威容は筆舌に尽くしがたい。松本市もそうだが、そういうところにはなんらかの力が渦巻いていると思う。事実、松本も甲府も人口は少ないのに、文化レベルが非常に高い。日本では数少ない、歩いて楽しい街だ。

 ところが、最近残念なことがある。太陽光パネルが増えていることだ。これは全国的な傾向なのだろう。「自然再生エネルギー」という欺瞞に満ちた言葉によって、あたかも「いいこと」のような印象を与えるが、その場所は緩慢に死んでいく。パネルが空き地や山肌にずらりと並ぶ様子は不気味さを通り越して、病的でさえある。

 地主には「土地の有効活用」と説得するのだろう。使っていない土地を提供すれば毎年なにがしかの現金を得られると聞いて、地主は簡単に土地を提供してしまう。

 東日本大震災の原発事故以降、自然再生エネルギーがやけにのさばっている。本来は、自然破壊エネルギーなのに。人々の意識には「自然再生エネルギー」=善、原発=悪という図式があるようだが、両方とも悪だという認識をもつ必要がある。もちろん、火力エネルギーも。

 取り組むべきは、いかにしてエネルギー消費を減らすか、であろう。それをまったくしないで、活路を自然再生エネルギーという名の自然破壊エネルギーに求めるのは傲慢というもの。

 もっとも、人間はずっと傲慢な振る舞いをしてきた。かく言う私も傲慢な振る舞いをしなければ生きていくことができない。つまり、人間がこんなにたくさん存在していること自体がすでに不自然なのだ。この不自然な状況は年ごとに、いや日ごとに増大し、バランスを欠いている。問題はそのツケをいつまで先延ばしできるかだ。

 革命的な政策によって大幅にエネルギー消費を抑え、化石燃料の使用を減らしながら原発の安全性を高め、と同時に新たなエネルギー源を探す(ないと思うが)、それがリアリズムだと思うが、今こんなことを言おうものなら袋叩きに遭うだろう。経済は大幅に減速して失業者が増えるのは必至だからだ。あえて火中の栗を拾う人などいない。そういうことが言える、勇気のある政治家はいないものか。

 

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「美し人」公式サイトの「美しい日本のことば」をご覧ください。その名のとおり、日本人が忘れてはいけない、文化遺産ともいうべき美しい言葉の数々が紹介されています。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

(190418 第893回 写真は山梨県北杜市の風景)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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