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風呂で西行を詠む

2010.02.05

 次々と便利なものが現れてくるものである。

 水に濡れても破れない合成樹脂で作られた本がある。私が買い求めたのは、『お風呂で読む西行』。そのおかげで、最近は風呂の中で西行を朗読している。

 風呂のなかは独特の音響効果があるので、朗々と聞こえる。いつもの自分の声とはちがう。歌の意味を探らず、まずは声に出して何度も詠む。西行はなぜか字余りが多いが、それが妙に印象に残る。言葉も流れるように美しい、とは言い難い。しかし、ズシリと響く力をもっている。やはりこの人は武士である。

 10数篇を何度か詠み終えた後、おもむろに浴槽を出ると、身も心もスッキリ。西行の言葉のリズムが耳の奧から五臓六腑に浸透しているかのような錯覚を覚える。

 いいな、選び抜かれた言葉の力って。

 

 『Japanist』で連載している「日本人偉人列伝」は、大久保利通、小村寿太郎と明治の傑物が続いたので、次回は一気に時代を遡り、西行を書きたいと思っている。

 なんと言っても、「願はくば花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」という歌と出会い、4月生まれの自分もこのように最期を迎えたいものだと思って以来の西行好きである。

(100205 第148 風呂で西行を詠むの図)

 

 

 

 

 

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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