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ローソクタイムで陰翳礼讃

2018.10.02

 一ヶ月くらい前からある試みをしている。名づけて「ローソクタイム」。夜9時頃、1枚のCDを選び、リビングの照明をすべて落とし、ローソク1本だけ明かりを灯して音楽を聴くのである。なにを聴くのかはその時の気分次第。なにも求めない。聴きながらその日を振り返ることもあれば、次の日のことを考える場合もある。書きかけの文章のアイデアが湧く場合もあれば、うーにゃんのように「無」の境地にいる場合もある。

 これでわかったことは、視覚が遮られるほど、他の感覚器官が研ぎ澄まされるということ。そんなことは当たり前ともいえるが、実行するまで腑に落ちてはいなかった。

 心のままに音楽を選ぶと、大半はクラシックの室内楽になる。眠る前にロックもないだろうし、壮大な交響曲でもない。ジャズでは当たり前すぎる。当然の帰結として室内楽になるのである。明かりがない分、耳が冴えてくるため、演奏者の表現の違いがわかるようになる。ちなみに昨夜は、ラフマニノフとフランクのチェロ・ソナタ(※フランクはもともとヴァイオリン・ソナタ)、チェリストはスティーヴン・イッサーリス。全部聴くと1時間半近い。ゆっくりゆったり、きわめてていねいに表現しているのが如実にわかった(その分、ダイナミックさには欠けるが)。

 それにしても、暗闇に揺れる炎を見ると、どうしてこうも安らぎを覚えるのだろう。微妙な空気の流れを受け、いっときもじっとしていない。おそらく太古の記憶が遺伝子に潜んでいるのだろう。なんともいえない懐かしさを覚えるのだ。

 いつの時代からか、蛍光灯が席巻し、夜の闇を駆逐した。それとともに失ったものは少なくないと思っている。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」連載中。 第29話は「いいことは時間をかけないと広がらない」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(181002 第846回 写真上はローソクタイムのワンシーン。大きなローソクを使う場合もある。下は石川県山中での取材で泊まった宿の窓からの夜景。闇にこぼれた光が妖艶だった)

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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