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美し人
ココロバエ

江戸の人たちの富士山信仰

2018.01.29

 葛飾北斎がすごい人気だ。以前、小欄で両国にある「すみだ北斎美術館」について書いたことがあるが、「なぜ、いま?」という気がしないでもない。

 人気の理由はいくつかあるだろうが、「世界的に認められた」という点が大きいはずだ。なにしろ、日本人は海外からの評価に弱い。まして、これまでずっと崇めてきた印象派の画家たちに多大な影響を与えた日本人画家ということがわかり、自尊心も大いにくすぐられているのだろう。

 それはさておき、『葛飾北斎、本当は何がすごいのか』(田中英道著・育鵬社)を読んでいて、江戸時代の富士山信仰に関する記述に出くわした。

 信仰の対象として崇められていた富士山だが、おいそれと登れる山ではない。今でこそ登山道が整備されているが、当時はそんなものなかったはず。まして、女性は入山を禁じられていた。

 そこで、どうしたか?

 富士山を模した富士塚をつくり、そこを登ったのだ。都内だけでも200以上の富士塚がつくられ、70以上現存するという。

 はたと思い出した。自宅近くの鳩森神社に富士塚があった、と。1分もかからず登頂できるミニチュアだが、富士山から持ってきた岩石などもあり、〝それらしい〟雰囲気は醸している。

 

 言うまでもなく、北斎の『富嶽三十六景』は傑作だ。富士山を主役にし、さまざまなアングルから、さまざまなアプローチで描いている。発想の奇抜さ、技法の巧みさ、全体の構成力など、まさしく〝画狂老人〟の域だ。

 セザンヌがそれを見て刺激され、故郷プロヴァンスのサン・ヴィクトワール山を連作したのは有名な話だ。もっとも、富士山とサン・ヴィクトワール山では美しさという点において比較にならない。

 自然の造形とはいえ、どうしてあれほど美しい山を日本人に授けてくれたのか、あらためて考えずにはいられない。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180129 第785回 写真上は鳩森神社の富士塚、下は葛飾北斎の『凱風快晴』)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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