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愛馬は言った。「つれないわね」

2018.01.04

 新年早々、私は愛馬に詫びねばならなかった。

 来年4月で還暦を迎えるのを記念して、車で日本一周をしようと密かに計画していた。まだ訪れていない県もあるし(鳥取、香川、徳島、大分、佐賀、宮崎の6県)、車で日本一周はかなり前からしたかったことである。

「あの車ももうすぐ11年。これからあちこちに不具合が出るかもしれない。還暦の日本一周を機に買い換えようか」と思った。

 そう思い立ったのが、昨年の夏頃。以降、いろいろな車を検討した。大きな車は要らないから、これまで通りアルファロメオを選ぶならジュリエッタくらいがちょうどいいかなとか、ミニクーパーもオシャレだなとか、国産に乗るならマツダのSUVもいいか……とか。

 しかし、どれを想定してもワクワク感がない。ひたすら美しさを追求したスパイダーの後釜としては、どうしても分が悪い。

 考えあぐねるうち、このまま乗り続けようと翻意した。思えば、これまでまったく故障はなかったし、前にも増してエンジンの調子がいい。燃費も良くなっている。つまり、買い替える理由がないのだ。強いていえば、マニュアルのため渋滞にぶつかって半クラッチを続けると左脚が疲れること、2人乗りのため家族3人で出かける時は一人が電車で移動しなければならないこと、車体が低いため悪路には向かないということくらいだ。

 私は愛馬に詫びを入れた。オソロシイことを考えてしまってすまなかった、と。

 その後、不思議な感懐を得た。他の車と比べたことによって、わが愛馬に対する愛着が俄然高まったのだ。

 なにしろベースデザインはジウジアーロ、加えてオープンモデルはピニンファリーナだ。この世に数多くの車があれど、ジウジアーロとピニンファリーナの合作はほとんどないだろう。それだけでとんでもない価値があるといえるし、そもそも現行のスパイダーは生産中止のため、もう新車で買うことはできない。

 大量消費の時代はとうに終わった。私は元来、物持ちがよく、かれこれ33年間着続けているジャケットがある。25年くらい着続けているスーツやコートやシャツもたくさんある。それだけ長期間、着続けられるのは体型がほとんど変わっていないからということもあるが、決め手は「自分に合ったモノをじっくり選び、大切に使う」である。

 1年過ぎれば、1年分の愛着が増す。それも年齢を重ねる醍醐味のひとつだろう。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180104 第779回 写真は愛馬のお尻)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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