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美し人
ココロバエ

風景力

2017.11.21

 レストランで食事をする時、どこに座るか。

 あまり頓着しない人もいるが、私はこだわる。食事をしながら見える風景がどういうものか、それによって食事の質も変わるからだ。

「食べ物なんか腹の中に入ればいいんだ。そもそも、風景なんか見ている暇はない」という意見もあるだろう。特に忙しい人は……。

 窓から見える風景によってホテルの宿泊料金が異なるのだから、本来はレストランもそうあるべきなのだろう。

 と、いろいろ書いたのは、風景の力、いわゆる「風景力」というものを以前に増して感じるようになったからだ。

 いい風景の中に身を置くと体が喜ぶ。体が喜ぶと、心も喜ぶ。順序は体→心。石塚左玄の唱えた「食養」もそうだが、まずは体ありきである。

 そういう状態なら仕事もはかどるし、気持ちも前向きになる。凶悪犯罪を起こすような人物は、殺伐とした環境の中に身を置いていたはずだ。

 平均すると週に4回、新宿御苑を走っている。この時期の朝は空気が凜と張り詰め、なおかつ季節の変わり目で風景が輝き、いつもより早く走れる。勢い余ってか、最近は200メートルくらい、全力疾走する。はじめは舗装路の上を走っていたが、万が一転んだ場合、大ケガすると思い、今は芝生の上をダッシュする。フランス式庭園のバラ園あたりから広大なイギリス式庭園のユリノキ3兄弟まで、最大限の力をふりしぼって走るのだ。

 私のような「笑っちゃう」レベルでも、全力で走ると風を切る。最後はバテバテだが、いまだに全力で走れることが嬉しい。ふだん何も運動をしていない人がいきなり全力で走ったら、あちこちの関節やら筋肉を壊すのは必定。そうはならず、きちんと持ち主の言うことを聞いてくれる体を、ときどき誉めてやろうと思う。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(171121 第768回 写真上は新宿御苑の下の池、下は同じく新宿御苑のユリの木3兄弟。この季節の風景は輝いている)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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