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ココロバエ
美し人

コント山口君と竹田君はマキャヴェリストか?

2017.11.13

 ふだん、あまりテレビを見ないが、それでも時々見る番組がある。例えば、「日曜美術館」「クラシック音楽館」「日本百名山」「ダーウィンが来た」「グレート・ネイチャー」等々。芸術系や自然系が多い。

 ふと気がついたら、ここにオジン系が加わっていた。「大相撲」と「笑点」と「お笑い演芸館」である。ま、寄る年波の影響には抗えないということか。

 特に漫才が好きだったわけではないし、今でもそうなのだが、「コント山口君と竹田君」にはハマっている。聞けば、1980年代から続いているという。

 ある時、偶然、二人のコントを見て、度肝を抜かれた。「なんだこのマシンガントークは! 世相を斬る舌鋒は!」と。

 その後、彼らが出演する番組を録画し、同じものを5回も6回も見ている。しまいにはDVDまで買ってしまった。

 あるコントを見て、これはまさにマキャヴェリズムだと思った。

 借金の話である。

 貸した10万円を返してもらいたくて義父(山口君)を訪ねる、気の弱そうな男(竹田君)がいる。路上で義父に出会い、竹田君は金を返してほしいと切り出す。

 そのやりとりのなかで、こういう台詞があった。

「だいたいだな、君に金を借りるような人がだよ、返してほしいと言われてすぐに返せるはずがないじゃないか!」

 強烈なアイロニーである。相手も自分も貶めながら、同じ穴の狢だと言っているのだ。

 責め続けられ、こういう台詞も吐く。

「いままで君は半年もガマンしてくれた」

 懐柔策に出るのだ。すると竹田君がこう答える。

「そうですよ。お義父さんだからですよ」

「いや、ちがう。君がガマン強いからだよ。君の良さはガマン強さなんだ。君の取り柄はガマン強さだけなんだよ」

「そうですか」

「ええい、そうだとも。なんだったら、半年と言わず、2年でも3年でもガマンできるはずだ」

「なんか、いままで余計なことに気を取られて、自分の良さをずっと忘れていました」

「人間なんてのはそんなもんだ!」

 これも外交でよく使う手だ。相手をたてて、逃げ道を作る。

 われに返った相手から執拗に返済を迫られると、最後に山口君はこう言い放つ。

「だいたいだな、君が私に金を貸してくれたばかりに、もっと困ってしまったじゃないか!」

 これにはぶっ飛んだ。論理の飛躍もはなはだしい。しかし、真実でもある。つまり、貸した方が悪いと言っているのだ。あなたが貸してくれたばかりに事態はさらに悪くなってしまったじゃないか、と。

 こんなやりとりが続くコントである。

 軽妙なやりとりの漫才もいいが、聞いたそばから忘れてしまう(それでいいのかも)。でも、コント山口君と竹田君は、人間の心の暗部を突いている。時に世界史、外交史を連想する。古典の小説を連想する。だから、私は笑う。何度見ても笑っている。

(171113 第766回 写真:漫才協会のオフィシャルサイトより拝借)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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