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ココロバエ
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他の生き物になりきる

2017.08.16

 とても不思議な体験をした。というより、不思議な感懐を得た、と言い換えた方が正しい。

 木曽駒ヶ岳を下り、麓の駒ヶ根にあるホテルに戻って温泉に浸かり、体を休めながらのんびりビールを飲みながら窓外の風景を見ている時だった。

 外は粒子の細かい雨が降り続いていた。粒子が細かいから、風景の輪郭がぼやけている。

 いろいろな鳥が空を飛んでいるのが見える。よくある光景だ。体の大きさに比較して、とんでもない速度で縦横無尽に空を飛び巡っている。鋭角に進路を変えるのを見て、「いったい、どうすれば、あんなことができるのだろう」と考えていた。

 飽きもせず見続けていると、やがてそれまで見ていた風景が、そうではなくなった。なんと、自分がその風景の中を飛んでいる鳥になっていたのだ。自力で空を飛んだことなどないのに、あたかも自分がその鳥になって空を飛んでいるような錯覚を覚えた。

 しかも、ただ飛んでいるのではない。雨が降りしきる中、エサを求めていた。敵の来襲に備えて、警戒も怠らなかった。なにしろ、小さな体だ。少し大きな鳥に遭遇したら、ひとたまりもない。だからこその鋭角的な急旋回なのだった。

 その感懐を得ると、まぎれもなく自分がこの宇宙の一員にすぎないことを皮膚感覚で理解できた。そして、鳥だけではなく、さまざまな生き物になりきることができるのではないかと思えた。

「だからなに?」と言われても、返す言葉がない。

 ただ、それだけの話。

(170816 第744回 写真上はホテルの窓からの風景。下は千畳敷の風景)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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