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ココロバエ
美し人

お手軽3,000メートル級

2017.08.12

 毎年夏、山に登る。8月はアルプス一帯の高い山、9月はそれ以外の地域の中堅どころの山と決めている。

 今回選んだのは、なんと木曽駒ヶ岳。いくつかの山が連なっており、最高峰は駒ヶ岳の2,956メートル。ほぼ3,000メートルだから、本来なら昇るのに一苦労する山だ。本来なら。

 しかし、この山は超お手軽なんである。どれくらいお手軽かというと、フルマラソンに出場して、35キロ地点あたりまでタクシーに乗って行くようなもの。なんと、しらび平から標高差950メートルをロープウェーで一気に上がってしまうのだ。着いたところは、千畳敷カール。標高2,612メートル。すでに8合目である。

 どうしてこんな楽チンな山に登ろうとしたのか? 相棒のK氏が膝を痛め、あまり歩けない状況だったからだ。

 まあ、時にはこういう登山もいい。というか、こういう楽チンな登山を味わってしまうと、これまでのようなハードな山登りはできなくなってしまうかも。

 台風の影響が心配されたが、日頃の行いがいい私は、なんとか天気に恵まれた。千畳敷カールからの眺めは、ほらご覧の通り(写真右上)。左に聳えるのが宝剣岳。その向こうに中岳があり(写真右下)、いったん下って昇ると、目指す駒ヶ岳がある。ただ、中岳に着いた時はすでにガスに覆われていた。 

 そんなわけで、絶景を楽しめたわけではないが、やはり山はいい。日頃、とくだんストレスもないが、ますます心の垢が取れる。こんなに風通しのいい精神状態で申し訳ないような気がする(だれに?)。

 山を下り、千畳敷のロープウェー駅に着いた時、いきなり雨が降ってきた。まるで私が駅の構内に入るのを見届けてから降ってきたかのごとく(と、つごうのいい解釈をする)。

 

 駅のカフェでビールを飲んでいると、隣に98歳のおじいちゃんが座っていた。千葉に住んでいて、ときどき息子が住む長野に来るという。長野に来ると、自分でバスを乗り継いでロープウェーに乗り、そこまで来てはコーヒーを飲みながら下界を眺めているという。

「わしはこれまでに年金を9,000万円もらった。年金ドロボーだ」と言って呵々と笑っていた。元気なおじいちゃんだった。

 お年寄りが元気なのはいい。この国は病人ばかりだから。

 ただ、そんな大盤振る舞いを聞いてしまうと、現在の年金システムが破綻するのは明らかだと思った。打ち出の小槌があるのならともかく。

(170812 第743回 写真上は千畳敷カールから見た宝剣岳。下は中岳頂上に立つ髙久)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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