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紺碧の将

「一見の価値あり」大英自然史博物館展

2017.05.22

 上野の国立科学博物館で「大英自然史博物館」展が開催されている。絵画のようにじっくり堪能するというより、見て驚くことばかりで、ふだん使っていない脳の一部を刺激されたようだ。

 資料によると、大英博物館は世界の博物学標本を集め、1881年に開館している。まだ19世紀のことだ。
 コレクション点数は、8000万点というから驚き。いったい、それほど膨大な収蔵品をどこに保管しているのだろう。
 今回の企画の目玉は1億4700万年前の始祖鳥の化石だ。教科書で見たことはあるが、もちろん本物は初めて。ダーウィンが進化論を発表し、物議を醸してから2年後のことだ。
 そのダーウィンの『種の起源』の直筆原稿もある。絶滅した鳥モアの全身骨格のドードーの模型、三葉虫の化石、イグアノドンの骨盤の骨格など、「へぇ〜」と唸るような物が所狭しと並んでいる。
 さらに驚いたのは、昭和天皇が皇居で採集した粘菌があったことだ。昭和天皇は豊かな見識、冷静な判断力など、歴代天皇のなかでも群を抜いていたとの評価があるが、博識でもあった。でも、まさか粘菌を採集されていたとは……。しかも、それがロンドンの博物館に保管されているというのが興味深い。
 最後にネアンデルタール人のゲノムが展示されていた。試験管があるだけで、もちろん中身を肉眼で見ることはできない。しかし、解説書を読むと唸ってしまう。これは21世紀ならではのひとコマであろう。
 「う〜む」「えー!」と唸るばかりのひとときであった。
(170522 第723回 写真上は始祖鳥の化石、下は昭和天皇が皇居で採集した粘菌)

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