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ココロバエ
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国を守る港

2017.05.18

 横須賀軍港をめぐるツアーがあることは、案外知られていない。

 フェリーに乗って、ガイドの説明を聞きながら約45分かけて港内を一周するものだ。
 横須賀港には米第7艦隊や海上自衛隊の精鋭艦がたくさん停泊しているが、それらを間近で見られると同時に、日本の国防のために重要な役割を担っている人たちがいるということもわかる。平和はタダだと思っている人が多いが、じつは「人知れず」努力している人のおかげで成り立っているのである。
 港内にはさまざまな種類の艦船が停泊している。例えば、海上自衛隊の潜水艦(右写真)、日米のイージス艦数隻(写真下)、過日、米空母「カール・ビンソン」と合流するために出港したヘリコプター空母「いずも」、そして先日出港した米空母「ドナルド・レーガン」等々……。機雷は金属に反応するため、掃海艇は木で造られている。ただ、それを造れる職人が途絶え、これからはプラスチック製になるという。ここにも職人絶滅の悲哀がある。
 空母の全長は約330メートル。東京タワーを横にすると、ほぼ同じ長さになると知り、驚く。イージス艦の高性能レーダー(六角形の薄い板)は、半径約400キロの範囲をカバーし、敵がミサイルを発射すると1秒以内に迎撃ミサイルを発射するという。西方面なら、1艦で横須賀から兵庫あたりまでカバーできるというのだ。第一次世界大戦の時代は肉弾戦が主で途方もない数の死者が出たが、現代の戦争は恐ろしく科学的だ。
 余談だが、先日、あるところで陸上自衛隊の若き一等陸尉と幹部学校の学生に会う機会があった。立ち居振る舞い、頑健な体は言うに及ばず、近代史への深い造詣など、じつに頼もしく映った。すぐにキレ、あちこちで害をばらまいている中高年とは雲泥の差だ(もちろん、りっぱな中高年もいるにはいるが)。
 それなのに、彼らを(事実上)違憲状態のままにしている日本人って、いったいどういう人間なのだろう? 日本人は昔からそんなに冷酷だったか? 自分勝手だったか? 
 ほんとうに恥ずかしい。
(170518 第722回)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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