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考古学界のサムライ

2015.03.01

大村幸弘 昨年秋頃、『Japanist』に連載していただいている上甲晃氏(元松下政経塾塾頭)から、「ぜひとも取材していただきたい方がいる。なんなら、自分で取材してもいい」と何度か熱いコールをいただいた。

 通常、自薦はほとんどノー、他薦も要注意と思っている。
 ところが、上甲氏である。つまらない人を推薦するはずはない。

 日本のサムライがここにもいると思った。
 大村幸弘(おおむら・さちひろと読む)。トルコで遺跡の発掘・研究をしている考古学者でアナトリア考古学研究所の所長でもある。
 若い頃から考古学を志し、奇跡ともいえる点が線になって、トルコに移った。以来約30年、カマン・カレホユック、ビュクリュカレ、ヤッスホユックの3つの現場で遺跡を発掘し続けている。
 なぜ、トルコか?
 トルコといえば、ヒッタイト帝国に代表されるように、古代文明が興った地域である。オスマン帝国もそうだが、覇権を握った歴史も長い。
 そういった場所の遺跡を丹念に調べれば、人類の興亡がわかるという。
 なぜか?
 日本のように水が豊富な国は住み分けをすればいいが、中東などの河川があまりない地域では土地の奪い合いになる。住める場所が限られてしまうからだ。
発掘現場 かくして略奪・虐殺の歴史が繰り広げられる。その跡が地中に遺されているというわけだ。
 大村氏いわく、「どんなに隆盛を極めた民族も、やがて滅ぼされる」という。大きな火災の跡が残っているが、それが滅ぼされた痕跡だ。なぜ、そうなるかといえば、隆盛の要因(鉄や小麦の生産技術)はどんなにガードしても、やがて流出し、力の均衡が崩れるというのだ。そういうことから、「純粋性が失われると劣化する」と警鐘を鳴らす。
 このことは現代社会にもあてはまる。金科玉条のごとく「グローバル化」というが、日本のような「特殊な国」がグローバル化を図れば、純粋性が失われていくのは明々白々。まして移民政策などもってのほか、というわけだ。
 大村氏は人類1万年の年表づくりに取り組んでいるが、それは自身が存命のうちに叶うことはない。なんとも長いスパンで大仕事に取り組んでいるのである。それだけでも特筆に値する。
 さらに、世界史の一部を書きたいという。現在の世界史は西洋人から見た歴史であり、当然のことながら、西洋にとって都合良く書かれている。真実かどうか、はなはだアヤシイ。それを大村氏は確かな研究のもと、公正な世界史を記したいというのだ。
 そのため、「永遠に在野でいたい」とも言う。なにかに所属すれば、保身に走る。それでは大事業は成就できないと。
 なんとも胸がスカッとする偉丈夫である。
 詳しくは次号の『Japanist』にて。12ページの記事でお届けする。
(150301 第546回 写真上は大村幸弘氏、下は発掘現場)

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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