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時の堆積を愛した画家

2012.03.29

 枯れゆく植物に思いを馳せ金属で創作を続けるモリソン小林氏、枯れてしまった雑草の次は、廃墟の画家である。

 ユベール・ロベール。

 こうも続くと、よっぽど高久ってヤツは枯れたもの、壊れたものが好きなんだなと思われるかもしれないが、事実、その通りなのである。

 その証拠に若い人にはあまり魅力を感じない。枯れてしまっては困るが、やはり魅力を感じるのは円熟味のある人。私の悪友、高久カズオ氏はその逆で、特に女性の場合は20代前半までしか対象とみなしていないという。

 さあ、どっちが正しいかな?

 播種本能からすればカズオ氏の方が正しい? あるいは、どっちでもいい?

 ま、どうでもいいか。

 

 さて、ユベール・ロベールである。

 忙中閑あり。

 時間を見計らって、国立西洋美術館へ行ってきた。

 H・ロベールは、18世紀のフランス人画家。朽ちかけた古代神殿や廃墟やモニュメントに、その地で暮らす人々を描き、「廃墟の画家」としてその名を馳せた。特に、サンギーヌ(赤チョーク)で描いたデッサンは、素晴らしい。描きこんだ部分とおおざっぱに描き流した部分のコントラストが天才的だ。観る者は、描かれていないところに、縦横無尽にイメージを重ねることができる。

 余白の部分に思いを馳せる。じつは、それこそが芸術の醍醐味である。全部、描き込んでしまったら、イマジネーションの出る幕はない。かといって、稚拙ではまずい。技術と感性が最高レベルに洗練されていて、それでいて、どこかに「余白」や「遊び」がある。そういう芸術が好きであり、そういう人が好きである。

 でも、全速力で突っ走っている人も好き。

 私の好みは自分でもわからないのである。

(120329 第329回 写真は、ユベール・ロベール作『セプティミウス・セヴェルス門のヴァリエーション』)

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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