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ココロバエ
美し人

命をまっとうした姿

2012.03.25

 前々回、植物たちの彼ゆく姿に哀惜の情を込め、金属で作品を創っているモリソン小林さんのことを書いたからというわけではないが、じつは私も最近、そういう心境になっている。

 それに気づくことになる、事の発端は昨年の夏頃のことである。白いツバキの鉢植えに突如、雑草が生えてきた。「雑草という植物はない!」という昭和天皇の御声が聞こえてきそうだが、残念ながら名前はわからない。ただ、直径20センチばかりの鉢に見るからに頼りなげな草が一本、ニョロニョロと生えてきたのだ。はじめのうちは、そのうち引っこ抜いてやろうと思っていた。しかし、何度も目にするうちに、ただの雑草とは思えなくなってきた。日に日に成長し、じっと見つめると、それなりに美しいことに気づいた。

 それからは、どんな風に成長し、どんな風に枯れていくのかということに興味が移っていった。主役はあくまでも白いツバキ。しかしながら、その雑草は主役を侵さない程度に場所を確保し、上へ横へと広がっていった。

 やがて、秋になり、冬になるにつれ、その草は枯れていき、気がつくと茶色に変色し、ミイラ化していた。それからずっと、その草は鉢のなかで形を変えずに居座っている。

 写真ではわかりにくいが、その草はどう見ても生き物ではない。しかし、命をまっとうした後の潔さを漂わせている。以来、その鉢植えは私の「作品」となった。

 一方、ケヤキの盆栽「夕映え」は昨年より一週間も早い3月22日、1ミリ程度の小さな葉っぱを出してくれた。すでに春の到来に気づいたのだろう。高さ20センチほどだが、樹齢は20年を超える。堂々としたもんである。

(120325 第328回 写真は、椿と枯れた雑草)

 

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Profile

髙久多美男

髙久多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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