第18回タカタラ賞、発表!(樹木編)
最も期待していた日展の入選作を何度かに分けて紹介したい。
その前に……。
日本の経済力が衰退しているという話はしばしば聞くが、一方で、社会が成熟したと思うことが多々ある。そのひとつは、スポーツや芸術の分野などで日本人の活躍である。スポーツの方は大谷翔平やヨーロッパのビッグクラブで活躍するサッカー選手を見れば一目瞭然だろう。芸術の分野も、クラシック音楽をはじめ、かつての日本人の限界を軽々と越え、悠々と力を発揮している。超一流の人材が育つには、裾野が広くなければならない。さらに3世代ほどの長い時間が必要と言われるが、それは経済力があってこそ。新興の国々ではできないことだ。
さて、日展である。とにかく規模が大きい。出品数、入選作品数など、国内随一であろう。絵画はどれも大作(150号以上か?)で、よくもまあこんなに大きな作品を描いて出品するものだと感心する。これらの作品は、展示後、どうするのだろうと余計な心配までしてしまう。
国立新美術館の1Fが日本画と工芸、2Fが洋画と彫刻、そして3Fが書である。じっくり見ようものなら、丸一日は覚悟しなければならない。
今回はまず「樹木」をテーマに描いた作品から発表していきたい。
成川健三「森の神」(洋画)。まさしく森に棲む神の堂々たる威容。植物は直接地球に根ざし、地球の磁場と養分を吸い上げることができる。地上で移動できないというハンディはあるものの、地球でもっとも生命力のある生き物といっていい。その風格が存分に表現されている

仁志出龍司「精霊の森」(日本画)。樹肌の描き方にもいろいろあるが、この作品には驚かされた。一見すると白に見えるが、近寄って見ると、さまざまな色が用いられている。そのため、単調になっていない。すごい!

上の「精霊の森」のアップ。この通り、いろいろな色が混じっている

北村友海「在りつづける」(日本画)。朽ちて崩れ落ちた巨樹。このただならぬ姿は、命が抜けた後の残骸に見える。だが、精霊を宿らせた樹は、死してなお異様な存在感を醸している

中市後達夫「紅葉」。球体の陶で紅葉の森を表現している。奇抜な発想に脱帽。いやはや独特の発想をする人がいるものだ

竹内昌二「柏槙図」(日本画)。斜め上からのアングルがオモシロイ。柏といえば、骨ばかりになった盆栽の老木をイメージするが、この巨樹もかなり老いているのだろう。幹のねじれが長い命の歴史を物語っている

野田夕希「樹」(日本画)。墨一色で、しかも平面的な処理によって巨樹を描いている。何百年も生きた巨樹は、ただそれだけで美しい

(261107 第1342回)
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