多樂スパイス

ADVERTISING

私たちについて
紺碧の将

究極の多幸感

2026.07.22

 最近よく聞くようになった言葉のひとつに「多幸感」がある。文字通り、「幸せをたくさん感じられる」という意味だろう。この言葉がこれほど人口に膾炙するようになったのは、現実が幸福感とはほど遠いからにちがいない。

 社会の分析はともかく、はて自分は多幸感があるだろうかと考える。おそらく、いや胸を張って「ある!」と言える。そんな人の書いた文章なんて読みたくないよと思う人もいるだろうが、事実そうなのだからしかたがない。

 世の中でもっとも難しいことのひとつは、自分を制御することだと考えている。なにしろ人間の脳は身体に比べておそろしく肥大し、その分高性能になった。ついついあれこれと考えてしまう。私なりに、自分の制御の仕方を試行錯誤する時期があったが、それがあってこその今である。何もしなければ、ズルズルと脳のわがままにつきあうしかない。

 人間の脳の分析はともかく、はて自分はどういうとき多幸感を得られているかと考える。物欲はほぼないし、名誉欲などはなからない(そもそも有名になりたくない)。使いきれないほどのお金も要らない。要は文化的な暮らしを維持できるものがあれば、それでいいと思っている。

 そんな私だが、もっとも多幸感を得られるもののひとつとして、美しい自然のなかに身を置くというものがある。とりわけ山を歩くのが好きだ。しかも季節のいいときに。

 先日、上高地から涸沢までの〝なんちゃって登山〟をした。以前は涸沢カールを一望できるヒュッテを拠点に、さらなる高みを目指したが、今はそこまでの意欲がない。横尾から涸沢まで登るだけで自分を褒めてしまう。

 今回の涸沢行きは絶好の天候に恵まれた。下界はかなり暑かったらしいが、登るのにちょうどいい気温で、涼しい風が吹き渡っていた。そのような状況下、自然が織りなす景観に見とれつつ黙々と歩く。このときの多幸感といったら、形容しようがない。

 山にも外国人観光客が増えた。だいたい山に行くのはヨーロッパ人である。マナーもいいしバカ騒ぎをしない。     

 1泊目の徳澤園の進化ぶりに驚いた。これでは山小屋ではなく、りっぱなリゾートホテルじゃないか! というくらい高い完成度の宿となっていた。料理も器も抜群。部屋もきれいだし、接客も素晴らしい。もとよりロケーションが抜群で、どこを見ても美しい自然に囲まれている。「脚が悪くて山には登れないが、ここまではなんとか来られるから来ました」と言っていたご婦人がいたが、体力に自信のない人もここまでのトレッキングは楽しめる。

 

上高地バスターミナルからすぐの河童橋周辺は人でごった返し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涸沢ヒュッテからの眺望。真ん中の尖った山が涸沢岳。左へ行くと奥穂高岳がある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を右に転ずると北穂高岳方面へ連なる峰が見える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

涸沢ヒュッテの展望デッキ。ここで飲むビールは極楽そのもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上高地から約1時間の明神池

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明神池から流れる清流。天然のクーラーがほんとうに心地良い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その近くにある豪快な根っこ。巨大な岩を覆っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(260712 第1329回)

 

髙久多樂の新刊『STAND ALONE』発売中

https://www.compass-point.jp/book/standalone.html

 

本サイトの髙久の連載記事

◆音楽を食べて大きくなった

◆海の向こうのイケてる言葉

◆死ぬまでに読むべき300冊の本

◆ちからのある言葉 

◆偉大な日本人列伝 

【記事一覧に戻る】

ADVERTISING

STAND ALONE

Recommend Contents

このページのトップへ