多樂スパイス

燃えたぎる心

2011.07.01

 私は自分で言うのもナンだが、無節操と言ってもいいくらい、キャパが広い。食べ物は何でもオーケー、嫌いなものはない。音楽の趣味も雑多。ブラームスの美しい旋律にうっとりした直後、レッド・ツェッペリンの『ロックン・ロール』で体中の血が逆流するほどにしびれてしまう。また、私の意識の中では『論語』も『老子』もマキャヴェリの『君主論』も矛盾しないし、東南アジアの汚い街頭にいても都会のスノッブなレストランにいても山や森にいても楽しめる。ひとりで過ごすのも好きだが、人と会うのも好きだ。

 そんなわけなので、静かな時間ばかりが私を魅了しているわけではない。

 というより、日常生活では怒り心頭に発すという状態がしばしばあり、キリキリしていることも多い。もちろん、そうさせてくれるのは、私欲にまみれたおバカな政治家たちだ。特に民主党政権になってから、それがひどくなった。「いったい、キミたちは自分がしていることの滑稽さがわからないのか!」と渇を入れたくなるような醜態の連続に、頭はクラクラするばかりである。ホント、これから日本はどうなってしまうんだろう。

 

 まったく話は変わるが、サッカーの試合を見ている時の私は、けっこう燃えたぎっている。あれは何だろう? 無性に血が騒ぐのだ。夕方、心を鎮めて木々のシルエットを見ているときの自分と同一人物とは思えない。

 パリ郊外でパリ・サンジェルマンとリールの試合を見た時は特にそうだった。試合前から観客はヒートアップし、アウェーのリールの選手たちは機動隊に守られながらスタジアム入りする始末。試合前からやけに騒然としていた。同じ国民なのにそこまでするのか! そこへいくと、われわれ日本人のサッカー観戦はじつに穏やかで、友好的である。どちらが好きかと問われたら、私はラテンヨーロッパ型の観戦が好きだ。

 試合が始まってすぐ、発煙筒が焚かれた(写真)。なんと、そこはドームスタジアムなのである。ドームで発煙筒を焚くと、どうなるか? もちろん、煙でフィールドが見えなくなる。煙がピッチを覆うと、興奮度合いもさらに高まる。そして、やがて煙間から選手たちの姿が……。それがまた劇的で血を逆流させてくれる。

 最近、外国へ行っていない。今年の4月は初のアフリカ旅行を予定していたが、震災の後でそれどころではなかった。

 そろそろどこかへ行きたいと内なる自分が騒いでいる。

(110701 第262回 写真はパリのサッカー場)

 

 

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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