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飛雲閣とお気楽な理事長

2010.11.15

 「飛雲閣が公開されるから京都行こうよ。ね。イタリアから帰ったら時間とれるからさ。ね」

 このブログや拙著にたびたび登場する高久和男さんは相変わらず遊びほうけている。彼の行動を見ていると、世の中が不況とはけっして思えない。

 そのカズオさんから誘いがあったのは先日のこと。今までさんざん、「ね」という柔らかい語尾にだまされ、ひどい目に遭わされてきたが、たしかに飛雲閣はぜひとも見たいと思っていた名建築物。西本願寺にあり、ふだんは見ることができない。今回の一般公開は5年ぶりだとか。必ず5年おきに公開するものではないし、公開時も撮影は禁止されている。それくらい「もったいぶった」建築物なのだ。

 一般公開は11月14日までということなので、13日泊で予定を入れた。ただ、飛雲閣と紅葉見物だけではもったいない気がするので(それでもじゅうぶんなのだが)、京都のパティシエ・西原金蔵氏に無理を言って取材の予定を入れさせてもらった(今、私は西原金蔵氏の流儀について本を書いている。仮称:『本物の神髄』)。その2回目の取材である。

 カズオさんとは13日の朝早く、東京駅で待ち合わせをすることにした。

 ところがである。前日の12日、いきなり「これから京都へ向かいます」というメールが入った。「また日を間違えたのか!」と思いきや、そうではなく、14日に学園祭があったのを忘れていたというのだ。カズオさんはああ見えて専門学校を3つ経営しているのである。

 「エライ人を何人も招んじゃったし、ボクがいないとまずいじゃない? だから、ね」

 大事な日を忘れるなっつうの! もっとも、以前は入学式も忘れていたくらいだから、学園祭を忘れるのは当然といえば当然かもしれない。

 結局、私はうらぶれたビジネスホテルに泊まり、ひとりでわびしい夜を過ごす羽目になった。この季節、京都はどこも満室で、ふだんなら5000円くらいのホテルが素泊まりで20000円もする。カズオさんはと言えば、目的の飛雲閣を見て、午後だけで4つの飲食店を回り、颯爽と帰って行った。付き合わされた私は満腹になり、気持ち悪くて何もする気になれなかった。カズオさんはあの通りのポンポコお腹なのでいくらでも入るのだが。

 

 ところで、飛雲閣。噂にたがわず凄い建築物だ。常識破りと言えば、これほど常識を逸脱した建築物もあるまい。秀吉が建てた聚楽第の一部を移築した、三層からなる楼閣建築だが、第一層は入母屋と唐破風を配して左右非対照になっている。軒の張り出し方、障子の面の異様な多さ、高床式の奇妙な姿、一見アンバランスで不規則ながら巧みに調和されている。たしかにこれは一見の価値があった。

 ところで西原金蔵氏の生き方を描いた『本物の神髄』は、現段階での私の力を集約したものに仕上がりそうだ。乞うご期待。

(101115 第207回 写真は飛雲閣の正面。敷地内は撮影禁止だったので、ポスターを撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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