言葉の親和性
2018.11.16
前回に続き、言葉の暗記・暗唱について。
禅の言葉を覚えることによって、心に火が灯る瞬間が増えた。寺をはじめ、旅館や懐石料理店などに掛かっている掛け軸や扁額の字が読めるようになったのだ。覚えている言葉ならすんなり入ってくるし、そうではない言葉でもなんとか読める。すると、それを選んで掛けた人と心の交流が生じたような感懐を覚える。その瞬間がいいのだ。
そのときめきは、自分以外の誰にもわからない。気づくはずもない。あえて言葉にする必要もない。お金もかからない(笑)。なのに、贅沢だなあと思う。
ますます日本語が薄っぺらになっている。ネットの普及がそうさせているのだろう。なるべく簡単な単語で伝えようとする。その結果、品位が落ち、陳腐化している。弊社のサイト「ちからのある言葉」はそういう意味でも、世に逆行している。しかし、多くのファンを獲得している。
最近始まった「日本の美しいことば」など、「へぇ〜、こんな表現があったのか」と驚くばかりである。日本語はじつに豊穣なのだ。理論を構築する上ではもどかしい言語だが、感性に訴える言語としては世界でも最上級のクラスにあるといっていいだろう。
日本語との親和性をどんどん深めたい。
「美し人」
美の生活化―美しいものを人生のパートナーに
※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」連載中。第32話は「褒め言葉は%0%に、苦言は150%に」。
https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo
(181116 第857回 写真の禅語は「松樹千年翠」)
Profile

高久 多美男
(撮影:森 日出夫)
●1959年生まれ
●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立
●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)
●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく陰陽相和す中庸を求める
■本は永遠の師匠
バルザック、ユゴー、デュマなど19世紀フランス文学からヘミングウェイ等の20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す
■No Music, No Life
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの御三家からワーグナーまでのドイツ音楽、フランク、ラヴェル、フォーレなど近代フランス室内楽、バルトーク以降の現代音楽まで、あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食
■映画は総合芸術だ
『ゴッド・ファーザー3部作』などのマフィアもの、『ニュー・シネマ・パラダイス』、黒澤明のほぼ全作品、007シリーズ、パトリス・ルコント監督作品など、こちらも雑食
■生涯、美を求めたい
桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食
■歴史上の尚友
尊敬する偉人の双璧は、大久保利通と徳川家康。他に幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介。理想主義者、ロマンチストより結果を出したリアリストを評価する
■思索の遊び
禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中
■隠れ目標
死ぬまで同じライフスタイル
■いやなもの
共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教
■追記
日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす。かなりの猫好き(愛猫・海=2019年没)、2019年9月、「じぶん創造大学」を設立し、自ら入学(生徒数1名)
