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播隆上人の偉業

2018.08.18

 山を下ってくる時、思いがけないものに出会った。右の播隆上人像である。播隆上人の名は新田次郎の『槍ヶ岳開山』で知った。強烈な残像がいまなお私の脳裏に刻まれている。

 播隆上人は、天明2(1782)年、富山県に生まれる。江戸時代後半のその当時、未踏の地だった槍ヶ岳登頂に挑み、何度も失敗したあと、ついに登頂を果たした。登山道が整備されている現在でも踏破するのが容易でない槍ヶ岳に、草鞋で登ってしまったのだ。道具も何もなく。頼れるのは、地元の人の肩に足をかけるくらい。まさに修験の極みである。

 槍ヶ岳開山の前には笠ヶ岳の登山道を開いたとも記されている。また、日本最古の文献、『迦多賀獄再興記』を著したともされている。

 今私たちが安全に山に登れるのは、播隆上人など先人たちのおかげである。それでも毎年何十人もの人が命を落としているが、安全に登れることに変わりはない。登山道に限らず、ありとあらゆることが、先人たちの偉業の上に成り立っている。だから、山を歩くことは、感謝の念をひたすら放つ行脚ともなる。

 ところで、新田次郎の『槍ヶ岳開山』で、播隆は農民一揆に加担し、妻を殺してしまうというエピソードが印象的だが、それは事実ではないとあるネットの記事で知った。史実をベースにした小説であっても、それくらいの〝修正〟は許されるということか。

 

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」連載中。 第26話は「道具に振り回されない生き方」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180818 第835回 写真は播隆上人像)

 

Profile

高久多美男

高久 多美男

(撮影:森 日出夫)

●1959年生まれ

●1987年、広告の企画・制作を営む株式会社コンパス・ポイントを設立

●2009年、『Japanist』を編集・発行するジャパニスト株式会社を設立(2019年1月、刊行終了)

●「遊び、学び、仕事は皆同じ」がモットー。すべからく本質を求める

■本は永遠の師匠

19世紀フランス文学から20世紀アメリカ文学、さらには現代日本文学。歴史(特に日本近代史)、あらゆる生活・芸術分野から政治・経済の分野まで、本には強いな愛着を示す

■No Music, No Life

あらゆるクラシック音楽と1950年代以降のジャズ、R&B、60年代以降のロック、ワールドミュージックなど、とにかく雑食

■生涯、美を求めたい

桃山から江戸にかけての日本美術、岡倉天心一派以降の近代絵画を特に好む。ヨーロッパの近代絵画など、こちらも雑食

■敬愛する歴史上の人物

尊敬する人物は大久保利通。ほかに幕末から明治にかけて活躍した男たち。戦国武将では武田信玄、戦後の政治家では岸信介

■思索の遊び

禅、儒学、老荘思想、マキャヴェリズムを組み合わせながら、独自の思想を構築中

■いやなもの

共産主義や日教組などの極端な左翼思想(極端な右翼も嫌い)、地球市民幻想、新興宗教

■その他

日常的に走る他、毎年夏、山に登る。体型はずっと変わらず。便利なことよりも美しさに価値を見いだす

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